17 ｢手当しなきゃ｣ ページ17
｢きゅうきゅ、…、？｣
狐…もといこんのすけさんは「は？」という表情であたしを見上げてた。
貰った手ぬぐいを折り畳みながら考えた。
大泣きしたあとだからか、頭…かなり重たいけど、幾分か洗われたあとみたいに、さっきよりはましにものを考えられる気がした。
役人さんに言われたことを思い出す。
あたしは前の世界に戻れない可能性が高い。
政府に保護してもらえるのも時間がかかる。
それまで何とかして自分の身を守らなきゃいけない。
(考えて、考えて、考えろ…)
ここにいる刀剣男士…って今も何なのか分かんないけど、彼らは、あたしを恨んでいる。もう心底恨んでいる。そして恐れてもいる。この狐もあたしに対して最初めちゃめちゃびくついてたし、お兄さんも何かをお願いしていた。
一体前のあたしは、ここで何をしてたのか、
「、」
でも、彼らを分かる理解力も余裕も正直無い。
あたしはどうやら結界、ってやつで今守られてるらしいけど、多分、さっき部屋無防備に開けちゃったのあれもやめたほうが良いんだろうな。なるべく息を殺してろって言われてる気もしたし。
結界とか、刀剣男士とかについて教えてくれそうなこんのすけさんは、もう辛うじて息してるって感じでふらついてる。こんな容態の生き物を前に自分のことしか考えられない程、鬼じゃないつもりだ
(よし、)
やることは、一に、この狐とお兄さんの手当、二に結界とか霊力とか言ってた力について聞こう。
｢救急箱、この部屋の中に無い？｣
もう一度聞くと、こんのすけさんはまたびくついて、｢はっはい！ございます！｣と言った。直後、案内でもしようとしてんのかぐぐ、とその体にまた力を入れようとした。あーあー、
｢いや、場所だけ教えてくれたらいいよ、じっとしてて、めちゃ痛いでしょ、｣
｢…！い、いえ、この程度、大丈夫ですので、｣
｢ああ、だめだめ、動かないで…！痛そう痛そう…！ほんとに場所教えてくれるだけでいいから！｣
ちょっと強めに言うと、またびく、と体を震わせてこんのすけさんは、本棚横の、大きめの箪笥に目を向けた。
｢恐らく、あの一番下の棚に、｣
｢りょーかい｣
立ち上がって箪笥に歩み寄って、下の段を開けた。
するとあった救急箱！これまたすんごい埃かぶってるけど。
木箱を取り出してこんのすけさんの前に戻ってきた。
こんのすけさんは｢あ、あの、なにを、｣と言っている。いやいや、
｢怪我してるでしょ。手当しなきゃ｣
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ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
