第28話 ページ29
『花〜！今日こそ俺たちと帰ってもらうからなぁ！』
や、やられたァ、。
私の目線の先には、既にお誘いを受けまくっている花君がいた。
そりゃそうだよ、だってたった一日でクラスの中心になっちゃう人が、私みたいに1人で帰るわけないよね。
私としたことが、痛恨のミスだ。
思わず零れた溜息には、諦めの色が滲み出ていた。
仕方がない、今日じゃなくて明日ちゃんと言おう！
今日も塾がある私は、そうと決めるといそいそと準備を進めてそそくさと教室から出た。
そして生徒玄関で靴を履き替え、さぁ、かーえろっと思った瞬間。
『彩。』
「は、花君？！」
さっきまであんなに人に囲まれていた花君が、下駄箱のかげから現れたのだ。
「え？いつの間にここまでおりてきたの？全然気が付かなかった！」
この生徒玄関にくるには、今私が通って来た通路が最短距離だ。他にも教室からの通路はあるのだが、確実に私より遅くなるはず。でも、花くんとすれ違った覚えはない。
けど、途中ですれ違ったんだろう！
『あんなうるさいとこ、長時間いれるわけないじゃん。どいつもこいつも嘘ばっか。』
花君の、綺麗な目元が歪められ、あの優しい声で不満をはいた。
どうしたんだろ…
やっぱり人気者も苦労するんだなぁ。好意もあれば悪意も伝わってくるんだろう。
『で、今日1日、俺に向かって視線を送り続けてきた彩はなんだったわけ？もしかして、俺の事好きになったとか。』
「そんなわけないじゃん！」
慌てて私が訂正すると、冗談冗談と笑う花君。
良かった、笑ってくれた。
『じゃあ、一緒に帰ろ。その時に聞く。』
「いいの？さっき男子に誘われてなかった？」
私の頭の中には、先程満面の笑みで田中くんに誘われていた花君が思い浮かんでいた。
『別にいいよ、彩は嫌なの？俺と帰るの。』
「ぜ、全然！帰ろう。」
そう私が言うと、まさに絶世の美男に匹敵するレベルの微笑みを見せた花君は、周囲の視線を集めながら歩き始めた。
お、お美しい……。
そうして歩き出した2人。
彩は、昨日よりも3つ多く花の耳についていたピアスに全く気がついていなかったのだった。
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ナナ - とても面白かったです!!早く続きが読みたいです！！ (2月9日 8時) (
レス) @page44 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
悪役ですが何か？(プロフ) - 花君と翼の絡み、すっごい良かったです！！あなたは、神か！？ (2023年4月8日 6時) (レス) @page44 id: 80363cd358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - はじめまして！いつも読ませていただいています。すごく素敵な作品でした。更新お待ちしています。 (2021年4月2日 15時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 花君が誰か分かったとき、あの時のカラス！！といっていて面白かったですwwそれと花君が言っていた「あのムカつくマスク野郎もいたけど、」のとこも面白かったし、第39話の若武？かな？が「うえっほん、それで、続きを話してくれ」のうえっほん！が一番面白かったですww (2021年4月1日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコ(プロフ) - 未胡成@定期的に病むさん» ある意味危ない展開になってしまった、、。翼を動揺ってなるとこれしか思いつかなかった、笑 (2020年4月28日 9時) (レス) id: 1c8e88b554 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコニコ | 作成日時：2018年8月17日 0時
