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映画観賞後、隣の彼女を盗み見るも彼女はこちらの視線には全く気づかずエンドロールを見ていた。
没頭している。隣にアイドルが座っていても、だ。
彼女のそういうマイペースな雰囲気が心地よい。
なのにいざ近づくと照れる女の顔も、撮られたらダメだとアイドルの仕事を理解してくれている時の真面目な顔も、彼女の見せる顔どれもが好ましかった。
何言ってるんですか、というふうに彼女は笑っているけれど、本当にタイプなんだから仕方ない。
だが、かわいいと言っても、タイプなんだと言っても照れはするものの軽く受け流されてしまう。
本気だと思われていない。
自分のキャラが仇になるとは笑えてくる。
俺のファンだということがわかり歓喜した。
今まで何度か一緒に過ごし彼女の俺に向ける眼差しに好意を見るも、それが果たしてアイドル中島健人に向けているものなのか、ひとりの男として見てくれているものなのか、俺のファンだと知ったからこそ、その区別がよくわからなくなった。
恋愛は押し引きが大事だなんて言うけれど、
自分が引けば彼女は離れていってしまいそうで。
やはり押すしかないじゃないか。
そうやって次の約束も、誘うのはきっと自分からだ。
それでもいい。
他のやつなんて見ないで。
俺に、恋をしてほしい。
どうか早く俺に堕ちて。
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作者名:にこ | 作成日時:2021年9月25日 22時