片鱗 ページ31
コンコン。
控えめなノックが響く。
このアジトの中で、俺の部屋をノックするような人間は、彼女くらいしかいないだろう。
他の奴らは、ノックはしねェし、何ならドアをぶっ壊す勢いで入って来る馬鹿もいる。
部下は此処には基本的に入れない。
九 「入れ。…どした、寝れねェのか?A」
『違うんです。…あの、お仕事の邪魔しちゃってすみません。』
申し訳なさそうにそう言った彼女は、
チラリと中を覗いた。
すると、ちょっと待ってて下さいね、と言ってまた部屋に戻って行った。
そして、何かを持ってやって来る。
九 「コーヒーか?」
彼女が持って来たのは、ブラックコーヒー。
コーヒーカップには、一口サイズのチョコレートが添えられている。
置いていいですか?と聞く彼女に、
頷くと、机の上のPCの近くに
コトリと置いた。
『ええ。さっきご飯を届けてくれた方に頼んだら、快く用意して下さって…。
それと九井さんはブラックだとお聞きして。
でも、もし何か飲んでたら…って思って、
一度お部屋を覗きに来ちゃいました。すみません。
お仕事、無理しないで下さいね。
おやすみなさい。』
九 「…ココ。」
『…ココ?』
九 「他の幹部やマイキーは大体そう呼ぶ。
お前も九井さん、じゃなくて、ココ、でいい。」
『ココ、さん?』
九 「さん、もいらねェよ。」
『…じゃあ、ココくん?』
九 「ははっ、マイキーとお揃いの君付けだな。
ま、今はそれでいい。
じゃあな、コーヒーとチョコ、ありがとう。」
『はい…、おやすみなさい。』
彼女は頭を下げて出て行った。
俺は、机の上のコーヒーの周りの書類を
ざっと寄せ、仕事を再開する。
コーヒーに口をつけながら、
チョコレートを指で軽く弾いて遊び、
1つ掴んで、開けた。
久しぶりに食べたそれは、
やけに甘かった。
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きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» がんばります!ではでは(^^) (2022年11月15日 17時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - 頑張ってください(ง •̀_•́)ง (2022年11月15日 17時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!このコメント欄でのやり取りを繋がってるって言うのかな?疎くてすみません…(^_^;)今作も楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2022年11月15日 16時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - いや…すきで読んでるんで!!!キリンさんとは…本当に繋がりたいです((繋がってるのかな、? (2022年11月15日 16時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 紫月さん、こんにちは。ありがとうございます。お手隙な時にでも、気軽にお読み下さると嬉しいです! (2022年11月15日 16時) (レス) @page23 id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月5日 18時