家出、助けます。【梵天】

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好きな物買ってやるなんて言われたら、
俺だったら、
部屋にイブ・サンローランのショップ丸ごと欲しいって言うよー
なんて、冗談を笑って言う蘭さん。
…え？冗談だよね？



『…蘭さんって、すごいですね。
女の私より、ずっと女性のことを分かってらっしゃる気がします。


でも、アクセサリーは特に…。
バッグは、一応1つくらいあった方がいいのかな…？


ドレッサーと、姿見は、洗面所があるから、
大丈夫ですよ。』



にこっと微笑んでそう言う私に、
目を見開いた蘭さん。



『一緒に考えて頂いて、ありがとうございました。蘭さん。』




蘭 「えっ……うん……。いや、全然。
じゃあ、俺…、そろそろ仕事行くから、
またね。」



『お気を付けて、行ってらっしゃい、蘭さん。』




蘭さんは頷いて、部屋を出て行った。









結局特に思い浮かばないまま、
今度は九井さんがやって来た。



九 「A、入っていいか？」



ガチャッ。



『はい、どうぞ。』



九 「欲しい物は決まったか？」



『はい。着替えと洗面用具を買ってもらえれば、
あとは特にありませんので。』



九 「………は？」



『はい？』



九 「金のことは気にするな、と言ったよな？」



『ええ。私のことなのに、すみません。』



九 「じゃあ何でそれだけなんだ？」



『…はい？』



九 「…あー…。よし、分かった。
とりあえずそれを注文しような？
パソコン借りるぞ。」



『はい、どうぞ。』




九井さんはデスクに置かれたPCを開き、
カタカタと操作して、
私に見せて寄越した。



九 「ここから選んで、発注かけといてくれ。
届け先や請求先は、
もう設定してあるから、
発注ボタンを押すだけでいい。」



『…九井さん、これ、値段が表示されていないんですけど…。』



九 「…何となく、
表示されてたら選ぶのが進まない気がしたから、
非表示にした。
いいからさっさと選べ。
また後で来る。」

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