家出、助けます。【梵天】

清濁併呑 ページ27

その後蘭さんが、
ゆっくり説明をしてくれた。





此処がどういう所なのか、
彼らはどんな人なのか。


あの精神科医が私をどうするつもりだったか、
他にも被害女性がいたこと。


噂が広がってしまっており、
私は狙われる可能性があること。
いずれにせよ、幹部何人かと関わったため、
そう簡単に帰すことは出来ないらしい。


万次郎くんが言った、
ウチに置いてもいいというのは、
梵天で働いてもいい、という意味だった。


もう既に、私の部屋まで用意されているらしい。


そして、
私が1番知りたかった、母親のこと。




『そう、ですか…。母が…。


あの、お言葉に甘えて、
此処で、働かせて下さい。
何が出来るか…、分からないですけど…。』



流されやすい私だが、
そう決めたのは、流されただけではない。
私を助けてくれた彼らへの
恩義だけで決めたのでもない。



どうしても彼らを
まるっきり悪い人とは思えなかった。
私は、此処にいたい、此処で働きたいと、
自分で思ったから決めた。



ただ、何が出来るか不安だけど、
やれることは、何でもやろう。
迷惑をかけないように。



九 「あぁ。
それじゃあ、部屋に案内する。
こちらから声を掛けるまでしばらく休め。」



蘭 「ちょい待ちー。
…Aちゃん、ようこそ、梵天へ。」



竜 「何かあれば言えよ。」



鶴 「無理はしなくていい。」



『ありがとうございます。
皆さん、よろしくお願いします。』



私が頭を下げると、4人は穏やかな顔でそれを見ていた。



九 「…こっちだ。」



『あっ…はい。』



歩き出した九井さんに、置いていかれないよう着いていく。
途中、3人の方を振り返ると、
竜胆さんだけがこちらを見ていた。



竜胆さんは、少し驚いていた顔を見せてから
ふいっと顔を逸らしてしまったので、
私も九井さんの方に向き直った。







通されたのは、
シンプルで綺麗なお部屋だった。



九 「とりあえず、部屋の物の確認だけしとけ。
必要なモンは手配させるから、
リストアップしておくこと。


あとは、まず休め。
…ひでェ顔色だ。まぁ、無理もないが…。
後で来る。じゃあな。」



『…？
分かりました。
九井さん、ありがとうございました。』



九井さんは小さく頷き、部屋を出て行った。









蘭 「りーんどー？手でも振ってやりゃー良かったじゃんー。
思春期でもあるまいしよー？」



竜 「…別に…俺、仕事行ってくるから。」



蘭 「はいはい。」

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