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その日は、たまたま竜胆がマンション下で様子を見ていた。
ちなみに、自分の顔が割れているかは、
日中にすれ違うことで確認済み。
いつもの時間に男が帰ってきた。
ここから数時間は動かねェんだよな、と思っていると、
15分ほどで再び扉が開く。
宅配でも来ない限り、絶対に開かなかったのに。
竜 「ん?
………は?!
ウソだろ、まさか今日、客に引きわた……。」
おまけに、女を連れて出てきたのだ。
来た!と思った竜胆。
引き渡しまで尾いて行ってやる、と思ったが、
もう一度驚くべきことが。
彼女は男を突き飛ばして
走り出したのだ。
竜 「マジかよ。…おもしれェ。」
竜胆は、女が出てくるであろう、マンションのエントランス側の路地に控え、
そしてわざと彼女にぶつかった。
転んだ彼女は、近くで見ると、
たった今、男を突き飛ばして逃げてきたとは到底思えない、
どこか切なくなるような、儚さがあって
一瞬目が離せなくなった。
しかし、次の瞬間に目に飛び込んできたのは、顔や腕、脚の至る所にある
傷や内出血の痕。
間違いなく長期間、暴力を受けている。
間抜けな跡取り息子の所にいた女のように
死んだ目はしていなかったが、
どうやら言葉は上手くでない様子。
…それなら。
大丈夫ですか、と不自然にならないよう、
怪我を心配する言葉を掛けつつ、
彼女を立たせる。
その時、彼女のカバンにボールペン型の盗聴器を差し込んだ。
これは三途が悪戯で俺に盗聴器をつけたことがあり、
仕返しに買っておいたもの。
…まさかこんなことに使うなんてな。
そして、彼女らの前を去るように歩き出し、
2人がマンションに戻っていくのを見て、
その様子が見える位置へ移動した。
彼女は、男に引きづられるようにして歩かされている。
カメラの拡大レンズ越し。
閉められる扉の向こう、最後に見えたのは、
あの寂しげな表情ではなく、
全く別のことを考えているような表情で、
まるで全て諦めてしまったようにも見えた。
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きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» がんばります!ではでは(^^) (2022年11月15日 17時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - 頑張ってください(ง •̀_•́)ง (2022年11月15日 17時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!このコメント欄でのやり取りを繋がってるって言うのかな?疎くてすみません…(^_^;)今作も楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2022年11月15日 16時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - いや…すきで読んでるんで!!!キリンさんとは…本当に繋がりたいです((繋がってるのかな、? (2022年11月15日 16時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 紫月さん、こんにちは。ありがとうございます。お手隙な時にでも、気軽にお読み下さると嬉しいです! (2022年11月15日 16時) (レス) @page23 id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月5日 18時