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それは、あまりにもあっけない最後だった。
JK「っ、姫様に、触るな!」
ジョングクがそう声を荒げる。
けれど、私はもう抵抗する気力もない。
分かっていた。
こんな日がくることなんてとっくに分かっていたから。
思ったよりもそれが早かった。
ただそれだけ。
ここ何日かはもうずっと野宿していた。
それが昨日、いつものように野宿をしようと良さげな場所を探していると、ある1人の女の子に声をかけられた。
きっと私たちよりも何個か年下であろうその子は「どこか行く途中なの?」そう尋ねた。
そして、「泊まるとこないなら家泊まっていいよ」そう言ってくれた。
ジョングクは、「姫様やめましょう」そう言っていたけれど私はすっかり油断していた。
自分よりも年下の女の子だったから安心していた。
簡単にそうやって他人を信じてしまった自分の危機感のなさに後から死ぬほど後悔した。
正直身体の方も徐々に限界が近づいていてお風呂にも入りたかったし、屋根のあるところで寝たいと思ってしまった。
今思えば、そんなことはジョングクと一緒にいられるのなら大したことではなかったというのに。
ありがたくお風呂を借りて、屋根のあるところで久々に身体を休める。
意識がなくなりそうになった、その時
突然たくさんの村人が入ってきて、私とジョングクの身柄は捕らえられた。
…あっけない。
まるで人ごとだった。
自分の身は、もうどうでもよかった。
「…ジョングクから手を離して」
無理に彼を羽交い締めにする村人にそう声を上げる。
けれど、そんな私の言葉を聞く様子はない。
「ジョングクを、離してって言ってるの!」
大声を上げた私にその場が鎮まりかえる。
「…逃げないから。
国のものがくるまで大人しくしてるから、だから彼から手を離して」
私の言葉に村人たちが戸惑っているのが分かった。
だから、追い討ちをかけた。
「追われてる身とはいえ、私は王族よ。
私の言うことが聞けないの?」
そう強く言うと、おずおずとジョングクと私からその手を離した。
…情けない。
思わず笑いが出そうになった。
自分で王族の立場を捨てたというのにこんな時にそれにすがりつくなんて。
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月31日 19時