79 【JK】 ページ29
【JK side】
「悲しい夢を見ただけだから」
そう言ったヌナに、もしかして、なんて期待してしまった。
だからどんな夢を見たのか聞いてみたけど、ヌナは覚えていないと言った。
まあ、そうだよな、そんなわけないよな。
夢という単語に敏感に反応してしまう自分に思わず笑いそうになって、そして同時に落胆した。
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ヌナは、いまだ俺たちの前世について何も思い出していないみたいだった。
けれど、きっと俺の態度や言葉から何かを感じとったんだろう。
「私たち昔会ったことあるの?」
以前、そう聞かれたことはあった。
けれど何も思い出していないヌナに俺の口から説明するのもなんだか違う気がした。
それに、本音を言うと少し怖かった。
ヌナにとって俺との前世は思い出したくないものなのかもしれない、そう思ってしまって。
考えたらそれもそうだと思う。
前世のヌナは俺のために命を捨てたんだから。
そりゃヌナと出会えた当初はただ思い出す時期に個人差があるのかも、とか俺と過ごすうちに思い出してくれるかもしれない、そう思っていたけれど。
いまだ一向に思い出す素振りはないヌナを見ると、だんだんとそんな気持ちが募っていった。
けれどそうは思っていても、俺だけなのかな。前世から、そして今もこうして君のことが愛おしくてたまらないと思うのは。
そんなことを考えてしまう自分もいて。
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月31日 19時