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今度は大きめの火を出現させ、それで的を包む。すると、的は一瞬で跡形もなく消えた。


僕は自分の出来に満足し、校長先生を見る。先生は目をまん丸にして固まっていた。


「あの…先生…?」


「あぁ、すまなかった。智君は…2つ属性を持っているのか?」


「はい…」


「そうか…このことを他に知っている人はいるのか?」


「誰も知らないと思います」


「良かった。なら、この事は誰にも言わないこと。普通なら属性は1人1つ、2の異能それも火と水という真逆の属性を持っているのは君だけだろう…自分の身を守る為にもこの事は黙っておきなさい」


「そうなんですか…分かりました」


「智君はどっちが得意なんだい?」


「水…ですかね」


「分かった。君の属性は水ということにしておく。属性別の授業もそっちで受けなさい」


「はい」


「偶然にも私の属性は火だ。火のことは私が週1ぐらいで教えよう。どうかね?」


「ありがとうございます。ぜひ、お願いします」


校長は頷くと


「それじゃ次は武器なんだが何か希望はあるかい?」


と言いながら武器庫のような所へやって来た。


「特にありません」


「そうか…智君は2つ属性が使えるから双剣はどうだい?難しいだろうが2つの剣に別々の力を宿すことが出来れば戦いの幅が広がる」


「なるほど……じゃあそうします」


「じゃあ、これは君のだ」


そう言って武器庫から新品の双剣を取り出した。


「これは君のだから自由に使ってもらって大丈夫だ。もし刃こぼれしたりとか何かアレンジを加えたかったら鍛冶場に腕のいい鍛治職人がいるから頼むといい」


「分かりました。ありがとうございます」


「説明はこれで終わり。あとは明日まで自由に過ごしてくれ。寮はこのすぐ裏。部屋番号は鍵に書いてある」


「分かりました」


僕はちょうどお昼だったので寮の食堂でご飯を食べ部屋に行ってみることにした。

『310号室』

鍵に書かれていた部屋に見つけ部屋に入る。部屋は1Kでちょっとしたキッチンにお風呂とトイレ、部屋にはベットや棚、机もあり中には服や文房具など生活に必要なものが一通り入っていた。


荷物だけ置いて少し探検でもしようかと思っていたが疲れていたようでベットに寝転がるとそのまま眠ってしまった。





「んっ……朝?」


晩ご飯も食べず風呂にも入らず眠ってしまったことに気付き一気に目が覚めた。だが、時計を見ると5時半授業までに準備する時間は十分あった。

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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時

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