反社(本業)とJK【東リべ】

・9 ページ9

聞けば、柴大寿とその兄弟である八戒、柚葉は彼女の異母兄妹なのだという。その事実を知ったのは、大寿が柴家を出ていったあとだった。彼女は母親の元交際相手の子供だと伝えられていたので、せめて本当の父親に会わせてやるくらいしてやりたいから、と正和が彼女の父親の行方を調べたのだ。

そこで出てきたのが柴家だった。大寿達の父親は、独身であると嘘をついて彼女の母親に近づいた、ただのクソ野郎。しかし、彼らはそんなこと気にもとめず、柚葉も八戒もAのことを可愛がっていたこともあり、その事実を直ぐに受け止めたし、妹ができたとはしゃいでいた。大寿は元々、小さい彼女に戸惑い気味だったわけだが、妹だと知った時、また同じことを繰り返してしまうのではと余計に戸惑いを感じていたのだと言う。しかし、今となっては優しい兄として彼女を支えてくれているらしい。





｢結構知られてるもんだと思ってました！｣

｢やべぇなんも知らねぇわ。マイキー知ってました？｣

｢いや、初めて聞いた。｣

｢確かに、ボスに似て……るか？｣

｢あんまり似てないって言われるかも……八戒くんに目元が似てるとは言われたかな。｣





彼女の言葉に、全身が顔を覗き込む。彼の顔を知っている人物なんて限られているわけだが、関東事変で八戒の骨を折り警棒でぶん殴った灰谷兄弟は何となくではあるが覚えていた。

確かに、大寿や柚葉よりも八戒に似ているのかもしれない。そもそも彼女は母親に似ていたので、柴家の容姿といえばその程度だろう。髪色は柴家の血筋のものなのか、八戒や大寿の髪色に近い色をしていた。





｢確かに……ちょっと似てる……｣

｢でも、それなら柴大寿に引き取られた方が良かったんじゃないか？｣

｢それとこれとは話が別だろ。｣





明司はどうしても彼女を娘にしたかったらしい。それにどんな理由があるかは分からないが、その意志が強いことだけは分かる。





｢そのことも含めて、大寿くんにもお話しておこうと思って。｣

｢んじゃ、帰りは迎えにいってやるから連絡してね。｣

｢え、いいんですか？｣

｢いいんですよ〜それにほら、義兄さんには挨拶が必要だろ？♡｣





受け入れるのも早いし気も早い。まだ義兄さんなんて呼べるような立場にもなっていないくせによく言ったもんだ。もちろん、そんなもの三途が許すはずもなく、本日二度目の喧嘩が勃発した。

・10→←・8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す