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「あー、痛かった。」
「蘭さん、このお紅茶すごく美味しいですよ!」
「良かったな〜クッキーも食べな〜」
そう言って、望月が持ってきていたクッキーを彼女の前に差し出すと、小さな口でクッキーを頬張る。可愛いなぁ〜と思わず頬が緩むと、「だらしねぇ顔すんな」と三途に思いっきり頭を叩かれる。
後で殴ろうと思う。
「すっかりうちのお嬢だな。」
「んなもん当たり前だわうちのAは可愛いんだよ。ナメてんじゃねぇぞ武臣ィ。」
「ナメてねぇわ。」
「そういや、もうすぐクリスマスじゃん。二人はどっか行かねぇの?」
二人の座るソファーの背もたれからひょっこりと顔を出した竜胆がそう訊ねる。蘭がクリスマスに興味が無いのは知っていたが、クリスマスは一緒に過ごすのがカップルというもの。Aだってクリスマスは恋人と過ごしたいなんて考えているだろう。なんてったって花のJKなのだから。
「24日はディナーに行く予定〜25の午前中は友達と遊びに行くんだと。」
「普通逆じゃないか?」
「夜は用があるんだってさ。」
「クリスマスの夜にかよ。」
「らしいぜ。なんの用かは知らねぇけど……なんの用事?」
「兄に会いに行きます!」
そう答えた彼女に、一同はますます意味が分からないといったように首を傾げた。
「墓参りなら一緒に行けばいいだろ。」
そもそも、正和の命日はまだまだ先だ。なぜクリスマスに墓参りに行くのかと、佐野は首を傾げた。
「お墓じゃなくて、教会に行くの!」
「教会に正和くんはいねぇぞ。」
「……あー、そういう事か。」
明司は何かを思い出したかのように頷くと、「完全に理解したわ」とタバコに火をつけた。
「てめぇまたなんか隠し事してんのか!?」
「別に隠してねぇよ。言うタイミングがなかっただけで。」
「え、マジで誰に会いに行くの?」
「兄です!」
「それは今聞いたんだよなぁ……」
「ココくんならよく知ってると思うけど……」
「え、俺?」
九井は腕を組み、右手を顎に添えてうんうんと唸る。彼女が懐いている人間は沢山いたが、兄のように慕っている人間なんていただろうか。誰とでも仲が良すぎて分からない。
「あれ、言ってなかったっけ……?」
「何も聞いてねぇな……俺がよく知る人……?」
「大寿くんだよ!柴大寿!」
談話室がしん、と静かになったあと、今までにないくらいのシンクロで驚愕の声があがった。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、? (2021年12月1日 1時) (レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました!好き!応援してます! (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません、20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか? (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます!花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの??え?なんでこんなに、文才あるの?え?神様って不公平だね。てか、神様っているのかな?、、、あ、挨拶が遅れてすみません!結菜です!花蛸花さんの作品好きです!面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月30日 2時