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近くのパーキングに車を停めて、寒い寒いと文句を言いながら教会へと向かう。雪こそ降っていないものの、近々降るかもしれないと予報されていたので余計に寒い。教会が近くなってくると、わいわい、というよりも、ぎゃーぎゃーに近いであろう話し声が聞こえてくる。
「大寿くん!!さっさとこいつ連れて逃げねぇと!!」
「やばいのがすぐそこまで来てる!!」
「大寿くん、Aのためにも早く!!!」
「お前そんなやばいやつ引き連れてんのか……?」
「え、えぇ〜……」
声の主は先程会った彼女の幼馴染と大寿、そしてAだったようで、Aは大寿の隣でなんと答えようかと困っていた。正直、ヤバい奴というのは間違っていないので否定のしようがないのだ。
「なぁんの話?蘭ちゃんも混ぜろ〜♡」
「うっっわ!!!きやがった!!!なんか引連れてきやがった!!!」
「なんかとはなんだてめぇ。」
蘭がお構い無しに槇島の肩を叩くと、彼らはAを囲むようにして立ちはだかる。そこにツッコんだのは三途で、くそさみぃ……なんてコートの襟元に首を填めた。
「お、まえ……灰谷兄弟!?」
「え、大寿くん知ってるの?」
「お前こそなんで知り合いなんだよ……!」
「え、あの………蘭さんとお付き合いしてる、から……?」
少し恥ずかしそうに笑うAに思わず頭を抱える。ちょうど世代が同じなのだから知らないはずがない。極悪の世代。六本木の灰谷兄弟。知らない奴の方が珍しかった。しかし今となってはその名前も消えているのだから、彼女たちがその名を知らないのも不思議ではないのだ。
「どうも義兄さん♡」
「義兄さんって呼ぶんじゃねぇ……!」
「まぁまぁ落ち着けよ大寿。」
二人の間に割るようにして入ってきたのは、タバコをふかす明司だった。この2人は一応面識があった。もちろん、その弟である八戒と妹の柚葉だってこの男と顔を合わせたことがある。その一回以来ほとんど顔を合わせたことは無かったが、正和がいやに信頼している男だということは知っていた。
「あんた……」
「あれ、臣さんじゃん!」
大寿の言葉を遮るようにして声を上げたのは本庄で、それに続けて他のふたりもその顔をじっと見つめた。かと思うと「あ!!臣さん!!」と、懐かしいその男に少し表情を明るくさせた。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、? (2021年12月1日 1時) (レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました!好き!応援してます! (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません、20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか? (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます!花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの??え?なんでこんなに、文才あるの?え?神様って不公平だね。てか、神様っているのかな?、、、あ、挨拶が遅れてすみません!結菜です!花蛸花さんの作品好きです!面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月30日 2時