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カフェでパンケーキを堪能したあと、プレゼントを互いに交換しあって、クリスマスで浮かれまくった街中を散策する。ちょうど4色あったお揃いのストラップを買って、それを持ってプリクラを撮った。
毎年、イブとクリスマスは父親は帰ってこなかった。愛人と過ごしているからだ。だからこそ、ゆっくり過ごせるこの二日間はとても貴重だった。
「あー!めっちゃ遊んだわー!」
「大知はいつも遊んるだろ。」
「ね、さっき撮ったプリダウンロードしたんだけど送る?」
「あ、欲しい!」
ゲームセンターを出てすぐのベンチに座り、あれが楽しかった、あれが可愛かった、この写真が盛れた、と駄弁りながらAの迎えが来るのを待った。
「お、あれじゃね?大寿くんの車。」
いかにもな高級車がこちらに向かって来たかと思うと、その車は彼女たちの前で停った。そこから出てきたのは、背も高いガタイもいいオールバックの男が降りてきた。
「大寿くん!」
「よぉ、メリークリスマス、A。」
「メリークリスマス!」
「お前らもな。」
「うっす!」
Aの異母兄である大寿は、もちろん彼女の幼馴染である彼らのことも認知していたし、彼らも大寿のことを彼女の兄であると認知していた。見た目こそ厳ついが、Aのことを愛しているし、分かりずらいかもしれないが溺愛していることだけは確かだった。
「お前らも送ってってやろうか。」
「大丈夫ですよ。俺らもこの後食べに行く予定なんで。後で教会に行きますね。間に合うか分かんないですけど。」
「A!後でね!」
「うん!」
大寿は助手席の扉を開けると、Aがそこにちゃんと乗ったことを確認して扉を閉めた。Aは窓の外に見える彼女らに手を振って、その姿が見えなくなった頃に思い出したかのようにシートベルトをつけた。
「乗ったら最初につけろよ。」
「えへへ……」
「知り合いに引き取ってもらったって言ってたよな。どうだ、新しい環境で苦労してないか?困ったことは?」
「大丈夫!」
「引き取り先なら俺にいえば良かっただろ。」
「あはは……まぁ、色々あって……」
むっと眉間に皺を寄せる大寿に、Aは苦笑いでそう答える。相談するよりも先に養子にされてしまったなんて言えるはずがない。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、? (2021年12月1日 1時) (レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました!好き!応援してます! (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません、20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか? (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます!花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの??え?なんでこんなに、文才あるの?え?神様って不公平だね。てか、神様っているのかな?、、、あ、挨拶が遅れてすみません!結菜です!花蛸花さんの作品好きです!面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月30日 2時