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「蘭さん、、」
コートの袖の部分を軽くと引くと、先程の笑みはどこへやら、優しい笑顔へと切り替わり「ん〜?」と優しく彼女の方を振り向いた。ここまで来ればもはや二重人格でなかろうか。
「私は大丈夫ですから、許してあげてください…デートの時間なくなりますよ、?」
なんて声をかけるべきか分からなくて、彼の喜びそうな言葉をとりあえず並べてみる。正解だったのか、ただ単に彼女相手だからなのか、蘭はへらへらと笑いながら立ち上がる。
「Aちゃんは優しいなぁ〜♡さすが俺の女♡」
良かった、機嫌は治ったようだ。そう思ったのも束の間で、笑顔のままの蘭は入口付近の警備員に顎で指示を出す。その警備員は特に何も言うことなく、女の腕を両端から掴んで奥の方へと引きずっていった。何かを叫んでいたようだが、蘭によって塞がれてしまった耳にその声はほとんど入ってこなかった。ぱっ、と手が離されると、今度は優しく頭を撫でられる。
「さ、ショッピング続けよーぜ♡Aちゃんは何色好き〜?」
「えっと、黒とか大人っぽくて素敵ですね……」
「黒か〜黒は女を綺麗にするって言うしな〜まぁ、Aちゃんは十分キレーだけどな♡」
何事も無かったかのようにショッピングを続ける蘭に、Aは戸惑ったが、この人反社だもんな。と納得してしまう。知ってはいたが、それを目の当たりにすると改めて実感してしまう。服の会計をすませたあと、それは送って貰うことにして店を出た。
「すみません、お金……」
「気にすんなぁ?自分の女に金使いたいのは普通のことだし、一緒に住んでる以上、衣食は保証するべきだろ。俺の方こそごめんな?さっきの、怖かったろ?」
すごく、とても申し訳なさそうに眉を下げる姿が、どうしても怒られたあとのレオと重なってしまう。さっきの人殺しの笑みは何処へ。
「確かに、少し怖かったですけど…いつもと違う蘭さんかっこよくて、ちょっとドキドキしました…」
えへへ、と笑う彼女が可愛くて、腰に回していた腕を頭にまわし、ぎゅっと抱きしめる。
「も〜可愛いなぁ〜……俺の事どうしてぇの?」
「んへへ……」
「Aちゃん、ほんと肝座ってるわ。あれ見てトキメけるとか相当よ?」
「反社の女なので!」
えっへん、と胸を張る姿が余計に可愛くて、頬がだらしなく緩んだ。きっとだらしない顔をしているんだろうけど、彼女が可愛いんだから仕方ないよな。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、? (2021年12月1日 1時) (レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました!好き!応援してます! (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません、20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか? (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます!花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの??え?なんでこんなに、文才あるの?え?神様って不公平だね。てか、神様っているのかな?、、、あ、挨拶が遅れてすみません!結菜です!花蛸花さんの作品好きです!面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月30日 2時