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着いたのはどこにでもあるようなビジネスホテル。
恐る恐る部屋に足を踏み入れると、背後の扉がバタンと音を立てて閉ざされた。
「なんか飲む?」
小さな冷蔵庫の前に立った清太が私をみて微笑んだ。
喉がカラカラだった私は、お水。と、か細い声でつぶやいた。
その声をちゃんと拾った清太は、その冷蔵庫を開けて透明なペットボトルを出すと、私の方へそれを差し出した。
「座ろうぜ」
そういうと、テーブルセットの2つある椅子のうちの1つに腰掛けて、もう1つの椅子を指差した。
私はその指示通りに清太の向かいにそっと腰を下ろした。
カチリというライターの音を聞きながら、私は手元のペットボトルを開けて一口水を流し込む。
相変わらず清太はヘビースモーカーなのだなと、あの頃の彼を少しずつ思い出しては、胸の中のモヤモヤを感じていた。
2度ほど煙を吐き出した清太が、その重い口を開いた。
「あの時の子供はどうなった?」
キンとつんざくような胸の痛みを覚えた。
幼すぎた馬鹿な私のあの時の感情を思い出して、消えてしまいたくなる。
あまりの清太のストレートな質問に、私の心は既に粉々に砕け散った。
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作者名:ミーコ | 作成日時:2017年9月30日 14時