【センラ】社畜リーマン歌い手はお腹が空いているようです

＊ ページ22

「それで、出身がどうしたんです？」


「さっきのだし巻き卵、あれって関西の方で特にメジャーなものなんです」



え、そうだったんや。



「折原さん京都出身ならしょっぱい方がお口に合うかなーと思って。
まあ甘い方がよく食べられていたみたいですし、予想は外れちゃったんですけどね」


「よ、予想は外れてまいました…けど、僕は今Aさんが作ってくれただし巻きの方が好きです。うまかったですよ」



真っ直ぐ、自分の思ったことをそのまんま言葉にして伝える。彼女の＿＿Aさんのこの心遣いには、真正面から向かって行かなければ感謝の気持ちは伝わないと思ったから。


彼女は少し驚いた様子で目をぱちぱちと瞬きさせる。そしてまた、あのふにゃりとした柔らかい笑顔になった。



「へへ、ありがとうございます。折原さん。食べる前と違って、随分元気が出られたみたいですね」


「…そうですか？」


「そうですよ。それに『食べきれへーん』って感じで不安そうな顔してたのに、ちゃんと完食してるじゃないですか」



そう言われて皿を見ると、あれだけあった(ように感じていた)朝ごはんは跡形もなくなっていた。



「うわ…ほんまですね…。Aさんのご飯がすごく美味しかったからですかね」


「ええ〜お世辞はやめてくださいよ」



そう否定しながらも少し恥ずかしそうにはにかむ様子の彼女はやはりかわいらしい。



「お世辞じゃないですって。ていうかさっきの僕の真似ですか？バカにしてはるでしょ！」


「『食べきれへーん』ってやつですか？？
バカになんてしてませんよ…ふふっ」


「いや笑ってもうてますけど！？」

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す