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何を作っているのだろうか。
少しの好奇心から彼女の横に立つ。
「わ、どうしたんですか」
ぴくりと肩を震わせた彼女の手元をのぞき込んだ。
「卵焼き…ですか」
「はい、シンプルですが、やっぱり日本の朝ごはんには欠かせませんよ」
器用に菜箸を使い、くるくると綺麗に卵を巻いていく。
楽しそうに、嬉しそうに喋りながら料理を作る彼女が少し眩しく見えた。きっとこの朝日のせいだ…。
「焼き鮭がありますけど…食べられそうですか?」
「うーん…」
「焼き魚は少し重いですよね」
彼女は少し残念そうにそう言って、グリルを開ける。
さっきまでは微かだった焼き魚独特の匂いがぶわっと一気に香った。
さっきまで口に物を入れるのがなんとなく嫌な気分だったのに、思わずごくりと唾を飲み込む。
「ちょっと臭みが少ないでしょ?焼く前に塩を振ったり、水気を取ったり…
ほんの少し工夫してみたんです。
いかがですか?」
「じゃあ少しだけ…」
「はい!」
え、俺こんなに食べられるやろか。
思わずはいと言ってしまうほど、それはそれは鮭が美味しそうに見えたのだ。
「そういえば…なにか手伝うことはありますか」
見ているだけではなんだか申し訳なくなってしまい、そう問う。
「じゃあ」と彼女は炊飯器を指さした。
「ご飯、よそってください」
言われた通り炊飯器の前に行き、用意されてあったご飯茶碗を左手に持つ。
ボタンを押すと少し重めの蓋がぱかりと開き、待ってました!と言わんばかりの量の水蒸気がふわりと出てきた。甘い、お米特有の香りが自分を包む。
表面はつやつやと輝いて、しゃもじを入れるととても柔らかい感覚が直に伝わる。ふっくらと炊き上がったご飯だ。
程よい量のご飯をよそい、食卓に付ける。丁度他の料理も出来上がったようで彼女は椅子に座った。
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ことみ(プロフ) - いちたにさん» もちろんっ! 素敵なお話、お待ちしております♪ (2019年7月29日 3時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ことみさん» お気遣いありがとうございます、ゆっくりではありますが書いておりますのでもう少し更新を待っていただけると幸いです (2019年7月29日 3時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - いちたにさん» あらまぁ。。。更新が止まっていて、それでいて本人がいるなら更新停止状態にしたほうがよいと思います。なんか上から目線ですみません(>_<) (2019年7月29日 1時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ことみさん» すみません!更新が止まっているだけで終わりではないです(汗) (2019年7月29日 1時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんで、終わりになってるんでしょう。。。? わざと、です?まぁなんにせよ、更新楽しみにしてますね♪ (2019年7月28日 3時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちたに | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月9日 20時