焼き鮭と卵焼き ページ18
どれくらいの間寝ていたのだろう。
ゆっくりと目を開けると、薄めのカーテンでほどよく遮られた朝日が部屋に差し込んでくるのが見えた。
「……!!?
あかんっ、寝坊や!!!」
ガバッと布団から起き上がり、枕元に畳んであったスーツを着る。ご丁寧にアイロン掛けまでしてあってとてもありがたい。
どこからともなく漂ってくる美味しい匂いを頼りにキッチンへ行くと、そこにはAさんが立っていた。
赤いエプロン姿の彼女が朝日に照らされながら料理を作っている。
こんなん、まるで___
「あ、おはようございます折原さん」
彼女は自分の気配に気づき、ゆっくりと振り返ってそう笑った。
「おはようございます…」
「お早いんですね。まだ寝ていても大丈夫だったのに」
そう言われ不思議に思いスマホを確認する。
「7時…確かにちょっと早かったかもしれませんね。いつもの癖で、つい」
「疲れは取れましたか?今から朝ごはんを食べようと思うんですけど、まだ寝ます?」
「いえ、大丈夫です、このまま起きてます。1度自分の家に戻らなきゃあかんので…」
「それもそうですね」
彼女は箸を二膳、向かい合わせになるように綺麗に食卓へと置き、「どうぞ」と椅子に手を当てた。
「あ、あのすみません。僕朝はあまり…」
「少食派ですか?でしたらご飯少なめにしますね。座って待っていてください」
「朝はあまり食べないので、朝ごはんはいりません」
本当はそう言いたかったのだが、あんなに優しく微笑まれてしまったものだから断るにも断れなかった。
(食べきれる気がせえへん…)
残してしまうのは申し訳ないが、何十回も食事を抜いてきている胃にとって正直朝ごはんを食べるという行為自体が辛い。
椅子に座って小さくなりながら彼女の後ろ姿を見つめる。
…何を作っているのだろうか。
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ことみ(プロフ) - いちたにさん» もちろんっ! 素敵なお話、お待ちしております♪ (2019年7月29日 3時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ことみさん» お気遣いありがとうございます、ゆっくりではありますが書いておりますのでもう少し更新を待っていただけると幸いです (2019年7月29日 3時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - いちたにさん» あらまぁ。。。更新が止まっていて、それでいて本人がいるなら更新停止状態にしたほうがよいと思います。なんか上から目線ですみません(>_<) (2019年7月29日 1時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ことみさん» すみません!更新が止まっているだけで終わりではないです(汗) (2019年7月29日 1時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - なんで、終わりになってるんでしょう。。。? わざと、です?まぁなんにせよ、更新楽しみにしてますね♪ (2019年7月28日 3時) (レス) id: 58ea8aaecc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちたに | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月9日 20時