ん。２【音駒】

ん！ ページ44

赤葦side

　
　
「そういえば、Aさんってバレーできるんですか？」


『ん！』



胸に手を当ててどや顔をする国見さん。

できるよ！という事なのだろうか……。



「ちっちゃいのに」


『ん』



黒尾さんにそういわれむすっとしている。

リベロくらいはできそうだ。

だって、さっきの木兎さんのスパイクしたボールを真正面で受け止められるのだから。



「じゃあ……ちょっと飛んでみろよ」


煽るように黒尾さんにそう言われ国見さんは走ってネット間際でジャンプをするが、手がネットを超えない。



「ぎゃははは！ブロック出来てねえじゃねえか！」


『……』



笑っている黒尾さんに、国見さんはボールをぶつけた。



『ん』


「そっか、中学でバレーしてたんだっけな」


『ん……』


「あ？中学バレー部だった従兄弟の練習相手だっただけ？」



夜久さんは、やはり国見さんの全部が分かるんだ。すごいな。



「すごいですね、国見さん」


『ん！』


「……？」


「名前で呼んでほしいってさ」


「……Aさん」



満足そうに頷いているAさんは、再び練習をするために音駒の人たちのところに向かう。

……不思議な人だ。

……ん→←ん。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す