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【半生】
ディランは魔法の名家に生まれたが、親や周囲の期待がうざったく、幼い頃から叔父の家に逃げ込んでいた。そんなディランに痺れを切らした親が、1人の魔法使いにディランを連れ戻すよう頼んだ。その男は、ディランがどれだけ頑張っても勝てないような男だった。──後に師匠となるような。ディランは師匠の元で魔法の腕を磨き、若くして1級魔術師の称号を手に入れた。
若い頃の彼には、一人の弟子がいた。アイザックというの少年だ。アイザックは親のいない子供で、ディランの元で弟子として育てていた。アイザックはディランによく懐き、ディランを親のように強く慕っていた。ディランもまた息子のようにアイザックを愛し、鍛えていた。
ある夜の事である。
用事でディランが家を空けた時だった。帰り道、何処か人が騒がしい。聞けば、街から少し離れたディランの家の近くで、面の魔法使いが出たらしいと。アイザックの顔が脳裏に浮かんで、ディランはいても立ってもいられず全速力で家へと向かった。
帰った時──アイザックは無事だった。怪我を負っていたが、近所の人を逃がす時に負ったと。ディランはアイザックに逃げるように言うと、杖を手に握った。法律に則って、「面の魔法使いの排除」を実行する為に。
その時、ディランは闇の魔法を目の当たりにした。面の魔法使いの脅威を、肌で感じた。余裕ぶってる暇なんてないほどの、闇の恐怖を。ディランと相手は互角だった。しかし、負ける訳にもいかない。
とどめを刺そうとした瞬間、女の子の泣き声が遠くから聞こえた。母親を探す声だ。それに気を取られたその1秒にも満たない隙を、相手は見逃さなかった。
ディランは深手を負った。強力な魔法を放とうとしているのを横目に、力尽きようとしていた。
ああ、くそ。ここまでか。
面の魔法使いの魔法が放たれた時、ディランの目の前に何かが覆い被さる。鮮血が散った後に、ディランは唖然としながら重たくなった覆い被さったそれを抱き締めた。
“それ”はアイザックだった。逃げていなかったのだ。ディランは自分の声とは思えないような、悲鳴に似た咆哮を轟かせながら、怒り任せに魔法を放った。加減はしなかった。手当たり次第に、人を傷付ける魔法を使った。理性的には居られなかった。
気が付くと、両腕に死んだアイザックを抱えて咽び泣いていた。面の魔法使いはもう居ない。残っているのは、折れた自分の杖と、面の魔法使いへの憎悪だった。
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ツッキーウサギ(元:アリス@リア狂さん)(プロフ) - 夜分遅くに失礼します、もしよろしければブレイクくんとブランカで関係を組んでいただけませんか? (2020年12月13日 21時) (レス) id: fa3c8a4e1d (このIDを非表示/違反報告)
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