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違和感 ページ38

「太宰さん」

わたしは引く前に太宰に声を掛けた。

細工を見抜くなら此処しか無い。

何を云うべきか。

小さな違和感。幾つも、あったはず!

「此の部屋、少し臭いますね」

「?そうだね」

アルコールの臭いにも似ている気がするが、尋ねる。

「此れは…何の臭いでしょうか」

あまり気に止めて居なかったが、関係無いと思えぬ事でも今回は大事だ。


「刺激臭…かな?」

「刺激臭…塩素じゃないですよね」

云われてみれば、確かに刺激臭だ。

塩素は毒にもよく用いられるから、もし塩素だったら危険。

「………」

「太宰さん?」

わたしは太宰が黙ったので、声を掛けた。


「いやぁ、何でもないよ。それにしても、Aちゃんは最高だよ!」

黙ったかと思えば急にハイテンションでペラペラと捲し立てる太宰。


「な、何がですか?」

「え・ん・素・自・さ・つ!!」

一文字1文字にアクセントを置いて目をキラキラ輝かせた太宰。想像以上の異常者だ。

「だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫?そんな野暮な質問しないでくれ給え!
さぁ、こうと決まれば心中だ!一緒に逝こう!黄泉の国!!」

ごめんなさい中也さん。わたしは太宰さんに負けました。

心の中で中也に向けて手を合わせる。

「逝きません。生きて此処を出て行きます」

「おぉ、『逝き』がいっぱい!」

「その『いき』じゃない!!」

最悪だ。

これじゃあ太宰の策略を見破るどころじゃ…


先ず、刺激臭。

恐らく塩素か、アンモニア。

出処は何処か…

わたしは立ってコンクリートの壁に沿って1周歩いてみた。

「え…」

臭いが、しない?

すると云えばするのだが、一番臭いが強いのはわたしの元々居た処。

ついでに唯一の扉を開けようとしたが、開かなかった。

わたしは元いた場所へ戻る。

例えば塩素だとしたら、とっくに何か症状を起こしても可笑しくない。

しかし、「臭いますね」で終わったあたり…アンモニアか?

だとしたら何故アンモニアが此処にあるのだろうか?

太宰がアンモニアと塩素を間違えないだろうとわたしは思う訳で、間違えたのは恐らく態と。

だとしたらくじ引きに関係するか、もしくは他に何かが動いているか…。

後者は一度置いておこう。先ずは目の前の事を処理する。

前者だと仮定して…

アンモニアの性質がくじ引きに使われたと考えよう。
アンモニアの性質。
1、刺激臭がある。
2、水に非常によく溶ける。
3、水溶液はアルカリ性を示す。

この中で使える性質はどれだ?

性質→←くじ引き



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設定タグ:文スト , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:恋愛
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時

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