花の名前 ページ29
其所は公園。その端っこの方だ。
AとAより少し年上の女がしゃがみこんで笑いあっていた。
一言で云うと「幸せな光景」
その二人の無垢な笑顔を向けられた花々も風に揺られて仄かに好い匂いを発していた。
「お姉ちゃん!!」
Aが隣の少女を呼んだ。
お姉ちゃんと呼んだが、実姉では無い。
歳は離れど"友だち”である。
「どうしたの?」
「この花、何ていうの?」
Aの視線の先をお姉ちゃんと呼ばれた少女が辿ると、黄色い花弁を付けた小さな花が咲いていた。
「それはね、『たんぽぽ』だよ。実はね、合弁花類なんだ〜」
五歳にもなっていないAに少女は「合弁花類」と説明した。
普通の反応は「合弁花類ってなぁに?」だが、Aは「ふぅーん」と納得した様に頷いた。
少女は既に「合弁花類」への説明を終わらせていたのだ。
それがAが小学校中学校でテストで満点近くを叩き出す根源になったのだろう。
しかも、運が良ければテスト中に異能力が展開される。
【展開します】
【『平塚らいてう』と書く→丸が貰える】
【『与謝野晶子』と書く→満足出来る】
こんな風にだ。
そして今は大學で人捜しについての授業を中心に取っている。
「ねぇAちゃん」
「なぁに?」
「このお花、何て名前か覚えてる?」
少女が指した花はまるで剣のような花で──
「覚えてる!!」
「お、偉いね〜何てお花?」
「えーとね、『グラジオラス』!!」
グラジオラス…グラジオラス…グラジオラス……
わたしはエコーを耳にしながら現実へと心が戻るのを感じた。
そうだ。『グラジオラス』
この花に何かある筈だ。
例えばそう、花言葉。
グラジオラスの花言葉は、
「思い出」「忘却」「用心」「勝利」そして
「密会」
知ってる。全部あのお姉ちゃんが教えてくれた。
古代ヨーロッパでは恋人たちが人目を忍んで密会をする時にグラジオラスの花を贈っていたという。
それに、古くからグラジオラスの球根は「戦場に持って行けば怪我をしなくて済む」と伝えられていたらしい。
………それだけじゃない。
もう一つ、教えて貰った。
そうだ。名前の由来だ。
「それでね、この『グラジオラス』の名前ノ由来は、なんだと思う?」
「・・・( ゚∀ ゚)ハッ!このお花、剣みたい!!」
「そう!葉が剣に類似している事から、古代ローマの剣である
『グラディウス』に由来しているんだよ!」
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時