五ヶ月 ページ20
ゆっくりと、着実に、其の時は近付いていた。
昔の話をしたあの日から五ヶ月後。
わたし達の関係は少しずつ少しずつ縮まっていった。
寂しい時は電話を掛けるし、人肌を感じたい時は互いの家へ出向く。
特に何もなくてもお互いを心の拠り所として生きた五ヶ月。
其れが、幸せで──
壊れるのが怖くて──
ずっと伝えられなかった此の想い。
「そろそろ、かな」
今日は中也との三回目の逢引だ。
遊園地逢引。
何て甘い響きか──
今日、わたしの“今まで”の恋の形を変える。
相手の想いを確認する。
そう思って家を出た。
待ち合わせ場所には三十分も早く来て仕舞った。
家を出てから中也が来るまで心臓が音を立て続けていた。
中也の足音。
大丈夫
自分にそう言い聞かせて、笑顔をつくる。
「待ったか?」
「ううん、今来たとこ!」
「んじゃ、行くか」
未だ手は繋がない。
繋ぐことの出来ない距離。
後少し、手を伸ばしたい。
手を──繋ぎたい。
この気持ちが
中也も一緒だと──
そんな甘くて酸っぱい想いを抱えながら遊園地逢引はスタートした。
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時