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眩む ページ18

「…!」

あいつらの存在に気が付いたのは数秒後。

階段下の少し横へ入った所の公園で遊んでいたのだ。

慌てて顔を隠して下を向いて小走りに家へと向かう。

いや、向かう先は家じゃなくていい。

兎に角何処か、あいつらから離れた何処かへ!


そう思ってチラリとあいつらの方を見た瞬間。

リーダー格の男と目が合った。

彼はニヤリとしたり顔を浮かべた。

彼はゆっくりとわたしの元へと歩いてきて、わたしの前に来ると膝を着いて甘ったるい声で話しかけてきた。

「君。一緒に遊ばない?」

【展開します】

【遊ぶ→砂場で殴られる】
【遊ばない→ここで潰される】

これがわたしの異能力。【遊戯】だ。

それぞれの選択が表情されて、選んだ結果も付いてくる。

お得だが、完璧ではない。

デメリットは主に三つ。

一、選択肢からしか選べなくなる
二、【展開】されるのは異能の気まぐれ
三、この気味の悪いAI音声が回りにも聞こえる


それを差し引いても悪くはない能力だと思う。今は。

わたしは【遊ぶ】を選択し、彼の誘いにコクリと頷いた。

「……来い」

男は来いと言った割にわたしの胸ぐらを掴んで砂場に投げ飛ばした。

「いた…」

「黙れ」

ゆっくりと男が近付いてくる。

砂場に先に居た奴等は、わたしの事を羽交い締めにして逃げ出さないようにと──リーダー格の男の機嫌を損ねないようにと──必死だ。


ゴリラからの一撃目。

顔も覆えないわたしは、怖くて目をぎゅっと瞑った。

何も起きない。

恐る恐る目を開くと、神社の彼がゴリラの腕を掴んでいた。

「愉しいか?」

声変わりの済んでいない声で、自分より圧倒的に背の高い男に凄味を効かせる彼。

正直に云おう。

──惚れた。

「はぁ?チビが何云っても怖かねぇんだよ!」

“チビ”の一言に反応して嗤いが起こる。

「黙れ、ゴリラ」

「何て云った?」

「何度でも云ってやるよ!自分より弱ェ奴しか叩けないクソゴリラが!」

彼の言葉を合図に四体一の圧倒的戦力差の勝負は幕を開けた。


結果は「彼」の勝利。

「助けて呉れてありがとう」

「嗚呼」

「お名前は…?」

わたしと彼は、あいつらの去った公園のブランコを漕ぎながらポツリポツリと話をして居た。

「中也だ」

「わたしはA!宜しく!」

「宜しくな!此れからは俺がAの事や護ってやる。

何かあったら頼ってくれよ」


そう笑う中也があまりにも眩しくて、大好きに成った。

此の日から、わたしの世界に光が灯った。

現在→←俺の知らない俺の話



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設定タグ:文スト , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:恋愛
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時

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