俺の知らない俺の話 ページ17
わたし達の出逢いは、唐突だった。
何時もと同じ様にわたしは一つのベンチに腰掛けていた。
家には帰りたくない。
義母さん達が虐めてくるから。
かと云って其処等辺にも居たくはない。
クラスメイトが虐めてくるから。
だからこうして、田んぼの畦道を沿って歩くと見えてくる五十段の階段を登った処に有る神社に来ている。
此処は誰も来ない。わたしだけの場所。
そう思って居たのに…
神社の境内に入った時にはもう既に人が居た。
登ったのだろうか。
立派な木の中腹辺りに
座って文庫本に目を落としていた。
綺麗な少年だ。
文庫本に落とす綺麗な瞳からは、長い睫が見えて、顔立ちは整っていて…
木漏れ日の当たる髪はキラキラと光を反射していて、美しかった。
暫く彼を見ていた。
刻が止まって居たのかの様な感覚だった。
ハッとして、彼から視線を外して、おもむろにベンチに向かった。
ベンチに座って、何時もの様に鞄から文庫本を取り出して読んだ。
何時もよりずっと心臓が五月蝿かった。
だからだろう。
本に中々入りきれず、わたしは…
いつもは、
日が暮れてくる頃、わたしはベンチから立ち上がり、神社を出る。
でもその日は彼の処為で緊張を感じていたわたしは、少しするとベンチを立った。
ふと気付いたように彼を見ると、彼は未だ本を読んでいた。
何となく一礼して階段を駆け降りていく。
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時