狗巻棘の双子の妹【呪術廻戦】

13color［過去編］ ページ15

◆



でも、そんな幸せもすぐに終わってしまう。

夏も近い季節になって来きた、14歳の頃。「暑いな…」と思ってマスクを外しながら庭で体術の練習をしていた。

休憩しようと一息つきながら縁側に座っていて、油断していた私が悪かった。



「自主練？偉いね〜」


『！？』



思わず、飲んでいたペットボトルを落とす。



















_____見られた



















「A？」



口元を押さえながら立ち上がって、その場を逃げようとしたのに足が絡まって石砂利の上に尻餅をつく。



『ぃっ…』


「A！大丈夫！？」



近づかないで、来ないで、見ないで…！

両手で口元を隠してはいるが、この現状をどうすればいいか正気を保てずにただただ混乱する頭。



















“離れて”



















だから、使ってしまった。

それはもう意図せずに。咄嗟に。

ヤバい、と思った時にはもう遅い。



















「ふー、危な」



















恐る恐る顔を上げるも、五条さんは特に目立った傷もなく普通に立っていた。



『ご、めんな…あっ』



思わず謝ろうとしてさらに口を押さえる。



「大丈夫？」



自分は危なかったのに、心配してくれる五条さん。

なんで。どうして。



「僕は無下限あるから」


『ぁ…』



自分が今、何をすればいいのかわからなかった。

安堵。緊張。焦り。申し訳なさ。

色んなことに混乱して立ち上がることもできない。

とにかく、口を隠したい。見られたくない。



◆

14color［過去編］→←12color［過去編］

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す