いい声なのに。 ページ14
その存在を視認した瞬間、周りの音が消こえなくなって自分でもわかるくらい表情と呼吸が止まった。
なんで。
うたプリに担当してるキャラ、メインキャラはもちろんモブも居ねぇだろ。
・・・いや、服装から察するに完全なるお忍びってところか。
落ち着け。今のところ向こうはこっちに気づいてない。落ち着け。
冷静に、いつもみたいに冷静に対処すればいいんだ。
諏訪部「・・・野川くん?」
順一さんから呼ばれて、ようやく周りの音が聞こえた。隣に居る浩輔さんも不思議そうにこっちを見てる。
俺のスタッフ名だ、返事しないと失礼だ。
わかっているのに、小さく呼吸する事しか出来ない。くそっ。
鳥海「顔色、悪いよ。
何を見て・・・・・・?・・・もしかして、あの人がそうなの?」
A「・・・・・・っ・・・すみ、ません・・・匿ってもらえると、助かります・・・」
諏訪部「・・・なるほど。
俺達がやり過ごすから、野川くんは隠れてて」
A「・・・、ありがとう・・・ござい、ます・・・」
言い終わる前に、近くにある備品室に入って物陰に隠れて息を潜めた。
ああ、だめだ。スタリ声優さん達の前では見栄張ってたけど・・・あの時の事を今思い出しただけでも手が震える。
「お疲れ」
アイツが順一さん達に気づいたらしく、数分と経たない内に声が聞こえてきた。
くっそ、いい声なのに今の俺にとってはトラウマ以外のなんでもない。
鳥海「珍しいね。
今日はどうしたの?」
「たまには自分が出てない作品のイベントに顔を出してみたくなって。さすがは王手乙女ゲーって感じの盛り上がりだね」
諏訪部「お客さんあってこそだよ」
「まあ、それも1番だけど。
そう言えば、ボイスドラマコーナーの時に出てきた人って本当に事務所に入ってないの?」
鳥海「ん?ああ、声優じゃないよ。
今回規模が大きいイベントだから、普段は表に出ないイベントスタッフさんを呼んだらしいよ」
「ふーん・・・。
名前とかは聞いてないの?」
諏訪部「あ、聞くの忘れてた・・・。
けど確か・・・最近のイベントの治安に追いついていけないとかで、完全に手を引くとか言ってたから会うのは難しいと思うよ」
「ふーん、そうなんだ・・・・・・残念。
俺のイベントに是非とも欲しい人材だと思ったんだけどな」
誰が行くか。
土下座されたって行く訳ねぇだろ。
その後も浩輔さんと順一さんの口から俺の情報が出ること無く、他愛もない会話になっていった。
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聖(プロフ) - 更新落ち着いてからでいいので、ゆっくり投稿してください。Luzさんの声とか歌私は今でも好きです。私は犬ゐさんの書いた作品が大好きです。これからも応援しております。無理をせずに…。 (3月10日 21時) (レス) @page15 id: 2e1cfa17e9 (このIDを非表示/違反報告)
R−アル−(プロフ) - 更新はとても楽しみですが、犬ゐさんの健康の方が大切ですので無理はなさらないで下さい。長々と失礼致しました。これからも応援しています。 (3月9日 23時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
R−アル−(プロフ) - luzさんがやってしまった事は決して褒められた事ではありませんが、それでも私もluzさんを嫌いにはなれません。歌い手さんを推し始めたのは割と最近なので犬ゐさんには遠く及ばないですが、私もluzさんが好きです。 → (3月9日 23時) (レス) @page15 id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
R−アル−(プロフ) - 二次創作も同じように現実とは似て非なるものとして別で考えているのでその事で作者様を非難する事は絶対しないです。寧ろお辛いはずなのに続きを書いて下さる意思を示して下さって本当に有難うございます。 → (3月9日 22時) (レス) @page15 id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
R−アル−(プロフ) - お知らせ有難うございます。私はセンラーで、luzさんとのコラボやXYZの曲も好きだったので知った時は凄く驚きました。色んな考え方をする方がいらっしゃるとは思いますが、私は曲に罪はないから消さないで欲しいと思うタイプで、 → (3月9日 22時) (レス) @page15 id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:犬ゐ | 作成日時:2023年7月6日 12時