MEMORY 【影山飛雄】

15. 一つになれる幸せ ページ16

…







　「Aはいいね。高さもパワーも
　 全部持ってて。」





　中学生時代よく言われた。
　そこそこ強豪校の中学生時代の女バレ。



　みんなちゃんと強かった。
　プレイする側としては団結していたと思う。




　だけど私は独りだった。





　バレーは団体競技。
　飛ぶ先にはボールが来ていた。
　ボールも集まった。



　表面はそうだった。





　いじめとかじゃない。
　無視もされない。





　だけど独りだった。
　お互い遠慮してたんだと思う。





　「Aは高さがある。才能もある。
　 正直うちらとはレベル違うよね」


　そう言ってるのを聞いてしまった。





　そんな風に思われていたなんて知らなかった。
　知ってしまったから。





　みんな付いて来てくれてると思ってた。
　でもそれは表面であって。


　実はついていこうとは思えなかったんだと思う。







　気づいたら、間に微妙な隙間が出来ていた。
　それは確かなモノじゃない。




　だけど私はその向こう側に行けなかった。
　行ってもまた隙間ができるから。



　その証拠に今となっては一切連絡をしていない。
　独りでいるのが当たり前になっていたから。




　表面は独りじゃないけど、心は独りだった。





　それに慣れすぎていたから。





　青城に来た時。一人じゃなくなったから。
　心はみんな、一つだったから。





　それが幸せで。




　独りに戻るのが恐いんだ。
　大好きな仲間に




　見捨てられたくないんだ。









…

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