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番外編 思いを交わして ページ39

あの場所に立つ貴方の姿は、
いつも漂わせている雰囲気と違い、
まるで別人そのものでした。

あなたのテニスに取り組む真摯な眼差しは
とても魅了的に見えるのは、どうして?








「_______えっと、小野寺、さん?」



「えっと柳生くん、
ポエムってこんな感じだよね?」



「ええ、はい、そ、そうなんですが…」



「変なのは気にしないで、
センスがないから。」




小野寺は笑った。
しかし柳生は、つられて笑うどころか
言葉が詰まって、何か吃っている。





「柳生くん?
変ならへんって、言っても良いんだよ?」



「いえ、変では、ないと思います。
ただ、そんな風に見てくれていたのかと思って…」




「初心者の意見だから、言葉の表現が下手。」
と言って、今度は苦笑いをする小野寺。



小野寺は、柳生の手から紙を取って
「これは見られるのは嫌だから。」と言って
カバンにしまおうとする。




「ああ、すいません、
あの、もし、嫌でなかったら…」









“小野寺さんが書いたそのポエム、







私に譲ってはいただけませんか?”









小野寺は一瞬驚いた表情を浮かべたが、
「良いよ。」と、柳生に差し出した。




「ありがとうございます。」



「良いの?そんなので。」



「いいえ、十分です。
だって気持ちがこもっていますから。」



「……うん。」




小野寺は意味有りげな柳生の言い方に、
小首を傾げ、少し間があってから頷いた。





「あ、私今日委員会の仕事があるんだ。
柳生くん、鍵をお願い。」



「そうですか、では気をつけてください。
鍵なら、了解しました。」






小野寺は荷物を持つと、
早々に教室を出ていった。






柳生は荷物を持ち教室を出ると、
扉に鍵をかけた。








私たちが言葉を交わしたのは
この紙切れなノートなのに、
どうして私は、こんなにも貴方に惹かれるのでしょうか?


その答えを知っているものがいるとすれば、
それは、私たちを見ていた“日記”という
場所なのかもしれませんね。





「この言葉は、
あなたへのメッセージです。」






柳生は、フッと笑うと。
職員室へ向かって、足を進ませた。








語られているのは、
思いの詰まったあの“日記”の中で。

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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