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第31話 マナー違反 ページ33

「…あの、前にも言わなかった?」



「さあのう、俺は忘れやすいんでな。
___もう一度言う、お前さんに
協力してやるきに。」





口角を上げて
笑う仁王に、小野寺は一定の距離を保ち
「近寄るな」と目で訴える。




「そんなに睨まんでも…
日記の相手、知りたいんじゃろ?
ぜーんぶ顔に出とるよ。」



指をさしながら
クツクツと、喉を鳴らして笑う。




小野寺は眉間の皺を更に寄せ、
「不愉快。」と一言。




「えっと、仁王くんだっけ?
部活あるんじゃないの?
私、ここで揉め事だけは勘弁だから。」




話し合っても無駄だと感じた小野寺は
本の整理を始めた。






「____ん?なんじゃ?」



向こうの方から
何人か図書室へ向かってきている足音がする。

小野寺は作業していた手を止めて
ドアの方に視線を移動させる。




「〜でさ」



大きな声で図書室に入ってきた男子生徒は
2年生の先輩のようだ。



小野寺は溜息をつき、
再び本の整理を始めた。

仁王はというと、
本棚に寄りかかって、じっと小野寺を見ていた。







「____なんでいつまでも見ているの?」



本の整理を終えた小野寺は
ものすごく不機嫌な顔で言った。



「あ、なんだこれ?」



仁王が答えようとした途端、
向こうから大声が聞こえた。

なんだと思いそちらに視線を向けると、





「_あっ!」




男子生徒の手には、
小野寺が使っている交換日記。



「ちょっと持ってて!」



手にあった本を仁王に渡し、
急いでその男子生徒からノートを奪い取った。


小野寺はホッとしてノートを抱きしめた。




「おい、なんだよ、勝手に取るなよ!」




ノートを取られた男子生徒が
小野寺の肩を強く掴んだ。




「これは私のノートです!
だからあなたに見る権利は、ない!!」



手を振り払って睨む。





相手は3人、自分は1人。
男子生徒は力尽くで、ノートを奪おうとする。
小野寺はノートは手放さない。









「______やめ、」



「やめなさい、
彼女が嫌がっているではありませんか。」



声がして後ろを振り向くと、
男子生徒の腕を柳生が掴んでいた。



「女性から力尽くで何かをしようとするとは、
男としてどうなんですか?
そして貴方達、図書室で五月蝿くするのは
マナー違反です、
守れないのなら、出て行ってください。」




柳生の威圧感に、
男子生徒たちは、
そそくさと図書室から出て行った。

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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