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第25話 渦 ページ27

休み時間、私はずっと本を読んでいた。
借りていた本の期限が、今日までだったから




「…あ、時間ない。」



私はトイレに行きたくなったので
ふと、時計に目をやると
もう時間がなかった。



チラリとドアに視線を向けると、女子固まっていて
扉は開きそうにない。
仕方なく、もうひとつの扉から出ることにした



だが、もう一つの扉の前では
他クラスの女子と、隣の席の人が
何やら騒ぎ合っていた。





「お気持ちだけ受け取りましょう。」


「気持ち、受け取ってくれるんでしょう?
これが私の気持ち!ほら、食べて!」



彼に対して無理に何かを上げようとする彼女は
ものすごく笑顔で、邪気がなかった。
多分、悪気は無いのだろう。




退いてくれないかな…
時間、なくなっちゃうんだけど。




「あの」と声を掛けようとしたが
柳生の声に被さって
自分の声がかき消されてしまった。



心の中で舌打ちをして、
隙を見て2人の間を抜け出そうと考えた。
それが一番楽だから。







「…………はあ。」



だが、一向にやり取りは終わらないし、
隙を見て抜けるタイミングもない。





すると、




目の前にいた彼が横によけたので
私は歩き出した。
しかしその時、



「んぐっ!!」



口の中に、
なにやら気持ちの悪い食感のものが
口の中に広がった。



咀嚼してはいけないと思うのに、
勝手に顎は動いてしまう。



そして、喉を通った
その異物を飲み込み、私は意識を失った。







「__っ!!!」



飛び起きて、目に入ったのは真っ白なカーテン



「うっ!!」


口の中が気持ち悪い



「大丈夫ですか?
これを、どうぞ。」



差し出されたのは、お水。
私はそれを受け取り、急いで水を流し込んだ。



「はあっ、はあっ、……ふー。」



大きく深呼吸
手にあるペットボトルを見ると、
半分以上なくなっていた



「…あ、えっと、これ」


「気になさらないでください。
少し前に、私も貴方からお茶を頂きましたから。」


「え、あー…」



そういえば、と、その人の顔を見た。
教室で、隣の席の人だ。


その人は申し訳なさそうに
頭を下げた。



「すいません。
うちの部のマネージャーが、
何やらけしからぬものを貴方に
食べさせてしまって。」

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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