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第17話 明日から ページ19

隣の彼女は
いつも、必ずやる事がある。


片手にペンを握り締め、溜息をつくと
教科書に視線を落とす。




「ねえ小野寺さん。」


「…なに?」


「ごめん、怒らないでよ。
小野寺さんはさ、
いつも授業中、何考えてるの?」




彼女は俺の言葉に下唇を噛み、
視線を逸らして「別に」の一言だけ。





「この席だって最後なのに、
小野寺さんは俺と会話をしてくれなかったね。」




彼女はチラリと俺に視線を向けると
興味なさげに頷いた。
俺は明日、
U-17の合宿所へ行かなければならない。
立海のレギュラーメンバー全員でだけどね。




「本が好きみたいだったから、
少し話をしたかったのに、残念だなあ。」



「あっそう。
私は幸村くんみたいな人、“嫌い”だから
話さなくて十分。」




こんなに彼女が話したのは聞いたことなかった
だけど俺は、そんなことよりも
彼女の発言に引っかかる。




「ははっ、俺のこと面と向かって“嫌い”ていう人、
初めて見たよ。)



元々人を寄せない子だとは思っていたけど、
ここまでサバサバしているなんてね、面白い。




「貴方のファンは、
面と向かって“好き”て言える人いるの?」


「なんでそんなこと聞くんだい?」


「“嫌い”が言えないのなら
“好き”は言えるのかと思っただけ。」




彼女の顔は
いつもの様に怒った表情をしていたけれど


今日は何か、探りを入れるような、
意味有りげな表情をしていた。

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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