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第15話 続けるために ページ17

○月×日


いよいよ期末考査ですね。
紳士さんは、苦手な教科、無いんですよね。

今回はとても範囲が広いですし、
高校進学のテストもありますし、色々と行事が多いですよね。




○月×日


特に「苦手」と意識したことがないだけです。
ノラさんは、化学が苦手とおっしゃっていましたよね。

今回の化学は、特に難問は出ないそうですよ。
重要な点を、きちんと暗記すれば、絶対に良い点は取れますよ。





○月×日


ありがとうございます。
この間の中間考査も、紳士さんのおかげで
とても良い点を取ることができました。

紳士さんの勉強法は、とても役に立ちました。


私は紳士さんに教えてあげられるものがないです。
ですが今度、きちんとお礼がしたいです。








「___お礼?」




柳生はペンを持ったまま固まった。
彼女の言う“お礼”とはなんだろうか、と。



彼女は今でも、直接話そうということはしようとはしない。
できるだけ人から距離を置き、
いつまでも畏まった様な話し方。



その彼女が“お礼をしたい”と書いた。




「う〜ん…お礼とは、
どのようなお礼なのか、ものすごく気になるのですが…」




もし彼女に聞いたとして、
彼女はどう答えるんでしょうか…


彼女が私の言いたいことに気づき
「直接的ではないです、間接的に」などと
返されてしまいそうですし…





「ああ、もう…この方は、
何ヶ月会話をしていても、絶対に読み取れないっ!」




柳生は頭を抱える。




「ほーう、柳生、お前さん、
やっぱりこいつのことが気になるんじゃな。」


「に、仁王くん!
人の交換日記は勝手に見るものではありません!
返してください!」




仁王の手から日記を取り返し、
ふう、と、溜息をついてから日記を又見る。


仁王は机に腰掛けて日記を指さす。





「でもま、随分と進歩したほうじゃろ?」


「な、何がですか?」


「柳生とそいつじゃ、随分と態度が丸くなったようだからな。」




仁王はクック、と、喉を鳴らし
「紳士振っておいて、そいつのことで頭がいっぱいじゃな」と、
笑った。




「失礼ですが仁王くん、別に私は
彼女のことで頭がいっぱいなわけではありませんからね?」


「ほう、いっぱいじゃない、か。
でもここ最近の練習、ミスが多いのう。
もうそろそろ、合宿が始まるというのに。」


「…」


「ほう、彼女に言っとらんのか。」





“個人情報は
触れないように”



これは、彼女との約束。

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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