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第10話 嗅ぎつける ページ12

静まり返る空間の中、
パラパラとページをめくる音が鳴り響く





窓から差し込む夕日は
少年を照らし、大きな影を作った




ノートに書かれた言葉を
目で追いながら、少年はため息を零した





話しても良い…とは書いてあるのに、
なぜだか距離感を感じますね…






相手からの返事の最初には、
こう書いてあった




“話すのは、あくまでこのノートでお願いします。
名前やクラス、個人情報は
触れないようになら、お話できます”と





「このノートだけで…
つまり、交換日記というわけですか。」




交換日記など、初めてだった。
柳生本人は、直接、口で話をしたかったのだが
相手はそれを拒否し、間接的なら、と返した。




「彼女がそうしたいのなら、
仕方がありません。」



「ほー、何が仕方ないんじゃ?」



「に、仁王くん?!」



柳生は慌ててノートを閉じた
仁王は、ニヤニヤとして、ノートを指さす




「柳生、お前さんそれなんじゃ?」


「別に、仁王くんには関係ありません。
全く……何か考えているとは思いましたが、
わざわざ私をいかけてきたんですか?!」



柳生は机の上にノートを置き
仁王から見えないようにする。



「そんなに隠さんでも、
俺は全部見たぜよ。」


「ええ?!」


「最近柳生がこそこそしとるから、
後をつけたら、随分と真剣に読んどったから
俺もほぼ同じタイミングで読んだナリ。」




仁王の発言に柳生は顔を青ざめた
すると仁王は、用が済んだのか、
図書室から出て行った。




「はあ……」



椅子に座り直し、ノートに視線を移す。





仁王くんにバレるなんて……
これは、ややこしくなりそうですよ、全く……

彼には十分注意していたはずなのに、
私としたことが、こんなに早く嗅ぎ付けられるなんて!




柳生はやるせない気持ちのまま、
ノートにペンを滑らせた。








“分かりました。
貴方に対して、下手な探り入れません。
それと、「紳士」とでも呼んでください。
貴方の事は、何て呼べば良いですか?”




「……紳士?」



私は思わず笑ってしまった。
何て呼ぼうかと考えていたら、
まさか「紳士」そう呼んでくれなんて。



貴方がそんな感じだからかな、
私がそこまで警戒していないのは。






“じゃあ、紳士と呼びます。
私の事は「ノラ」でお願いします。”





少年少女ではなく、
「紳士」と「ノラ」としての交換日記が
始まった_______________

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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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