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Settsu side.
《好き。》
「?!」
稽古場に忘れ物をしたから、風呂に入った後に取りに来た。
ドアを開けると由井ちゃんが練習していたようで、一瞬だけびっくりする。
…すげぇ集中してるみてぇで、俺には気がついてないらしい。
《私がこんなに好きだったのに、棗さんちっとも気がきついてくれなくて…。
この向日葵畑に来てくれるのを、毎日楽しみにしてたんです。》
鳥肌が立った。
画面ではちょいちょい見てるけど、やっぱり生は格別だった。
声の重さ、纏う空気、頭のてっぺんから足の先まで…俺にはできない芝居。
やばい。
そう思って見入っていると、俺のズボンからスマホが落ちた。
「げっ」
『えっ、…摂津くん…?!』
「…おつかれ、由井ちゃん。」
:::
『声かけてくれたらよかったのに。』
「いや、あんだけ集中してる奴に声なんかかけれるかよ…。」
そろそろ休憩をしようと思ってたらしく、俺と由井ちゃんは壁にもたれかかって雑談をしていた。
由井ちゃんの手元には、真っ赤になるくらい書き込みがされた台本。
…俺の中で由井ちゃんは、俺とおんなじ部類だと思ってたからなんか不思議な感じがした。
「なぁ、由井ちゃん。この前のさ…」
『ん?』
俺が声をかけると、由井ちゃんはその大きなを俺に向けてくれる。
…かわいいなオイ。
「路地裏であった時の。あの…漣ジュン?とかって奴と仲良さげだっただろ。
…何者?あいつ。」
『ジュンくんのこと?』
ぽかんとした顔で、由井ちゃんが聞き返してくる。
…下の名前で呼んでることに一々イライラしている自分が意味わかんねぇー。
『…この前も話したけど、最近仲良くしてもらってるアイドルの子だよ。
すこくいい子なんだけど…。その…告白されちゃって。』
ほんのり赤い顔で、言葉を紡ぐ由井ちゃん。
その姿に、俺はまたイラついた。
「よくあんの?そぉーゆーこと。」
『…少なくはないかな、ありがたいことに。
OKしたことはないけど、』
「ふぅん…」
『私、人のこと好きになったことなくて…。
この歳で彼氏のひとりもできたことないんだよ?
だから、そろそろ欲しいなって。』
中々見れない、由井ちゃんの純粋な笑顔。
…下心とか、そんなの無しに心の底から思ってんだろうな。
…由井ちゃんに彼氏とか…腹立つけど。
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夢花(仮垢) - #56の天馬の発言にて誤字発生…作者さん勢いで書いたか眠い時に書いたやろ(ジトー)無理とかしないでくださいよ!? (2018年11月8日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - あ、因みに#55の「無理してる感じは凄くしてるけどね」と有りますが、恐らく「してる感じはあるけどね」かと。見直しお願いします(このコメは消してもらって構いません) (2018年11月8日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - #55のとこ…天才じゃい…w紬さん…w((殴 誤字ありました。面白いです← そしてそーちゃん!!!!何!?作者さん神!?もっと早めに知ってれば候補キャラ言えたのに!!wそしてコメで見えたんすけど、他キャラ名も…よし、今から見てきます (2018年11月8日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
碧依 - めっちゃ面白いです!お兄ちゃんってスタマイの由井孝太郎ですよね!?アイナナやBプロやあんスタなどのキャラが出てきて面白いです! (2017年11月19日 23時) (レス) id: 5361a6093c (このIDを非表示/違反報告)
アオツキ*(プロフ) - ちょいちょい地味にアイナナ、Bプロ、あんスタのキャラを入れてきてすごく楽しいです!更新頑張って下さい! (2017年11月19日 22時) (レス) id: e61c22ef84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2017年10月12日 20時