156:ギャルと爆発力 ページ6
震える足で、Aは立ち上がろうとする。
けれど、体が熱くて熱くて堪らなくて、痺れてとてもじゃないが動けない。
Aは今、目の前に殴ってやりたい相手が居るのに自由の効かない自身の体を、これでもかと言うほど呪った。
いつもそうだ。
いつだって、呪いは自分の手から何もかも取り上げる。
「そろそろ、ガタが出始めるかなぁと思ってたんだよ」
Aは、ゆったりとこちらに歩み寄ってくる真人を見上げた。
鋭い瞳で、なんでお前が私の呪い知ってんだよ、と。
何処までも、この呪霊は自分の事を手に取るように知り尽くしている。
一体どこまで知っている?
誰が教えている?
Aの危険を感じた七海は、真人へ駆け鉈を振りかぶった。
しかし、「大人しくしててよ」と真人が七海へと変形した腕を伸ばした。
大きく変形した腕は、彼を校舎の柱にぶつけ縛り付ける。
七海は表情を歪めた。
「さて、片腕の自由がなくても今の君なら平気だよね」
真人は空いている片腕を鈍器に変形させ、Aの脳天を殴り抜けようとした。
真人は、今の可借夜Aの事ならばなんでも知っているつもりだった。
何故なら、教えてくれたのは夏油傑なのだから。
彼はAの事を知っていて当然。
彼女の学生時代から、生活から、泣き顔から、性感帯から、当たり前のように知っている。
はずだった。
「ごッッ、ぱァ゛ッッ!!」
真人の顔面を、Aの拳が強く殴った。
真人とAは距離があり、Aは立つこともままならないはずだった。それなのに、真人へ拳が届いたのは術式を使ったからだろう。
引力で、自由が効かない体を無理矢理動かさせた。
「はは…、クソ雑魚………ギャル様からの一発、嬉しがれよ…」
にた、とよろめきながらも立つAが真人へと笑いかける。
実に凶悪な笑みで、真人を心から見下す顔だった。
真人は殴られた頬を押え、意味ありげに「へぇ」と呟く。
知っていると思い忘れていた。
そうか、彼女は爆発力があるのだった。
窮地の壁をなんなく破壊する、自覚出来ていない爆発力がある。
だから、今現在も到底無理な事を成し遂げた。
「ガタガタ、喧しいんだよ……テメェの目安で、勝手に限界測ってんじゃねぇ…」
あぁ、困った
脅威はコイツもかぁ
真人は、片足を鞭のように変形させ、Aの脇腹目掛け打った。
Aは意図も容易く飛ばされる。
横目で見ていた悠仁は、Aの姿に戸惑った。
それでも、悠仁へと改造人間は襲い来る。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時