180:ギャルと悪友計画 ページ30
あぁ、よからぬ事を考えているなこの二人。
長年の付き合いにより、七海は察した。
「悠仁ぃ〜」
Aが猫なで声をあげる。
「普通に『オッス皆!久しぶり!』って登場すんの〜?」
「え、違うの?」
悠仁はきょとんと小首を傾げた。
Aに続いて五条が言葉を続ける。
「長年呪術師やってても、一度死んだ奴が生きてましたってのはそうないよ?」
「そうそう。私だって、生き返って欲しい奴いっぱい居るもん」
「先輩、ブラックジョークにしては真っ黒すぎるよ」
察した五条がすかさず突っ込む。
その触れにくい話を軽く言うのは辞めなさいと。
「まぁ、確かに…」
五条の言葉に悠仁は頷く。
俺、確かに心臓取られてたしな。
でもどうすれば、と首を捻る悠仁を前にAは上機嫌に笑みを浮かべた。
「そ・こ・で!私たち悟とAは考えたわけでーす!」
「でーす!」
なんてセンスの無いコンビ名だ。
悠仁に詰め寄る大人2人を横目に七海は思った。
偽装カップルや両片想いを前に、Aと五条は何かとコンビな事が多い。
Aと五条は、そもそも悪友だ。
空間系術式の頂点、呪術界の双璧。
夏油と五条が相棒で親友ならば、Aと五条は史上最悪の悪友。
この2人が意気投合し今から世界征服をしようなんて言い出さないのを、上層部は毎日冷や冷やした気持ちで過ごしているに違いない。
Aと五条は打ち合わせすることなく同時に同じ言葉を発した。
「やるでしょ、サプライズ!!!」
悠仁の瞳が間違いなく輝いたのを七海は見逃さなかった。
嗚呼、可哀想に。
彼は素直で優しい青年なのに、最も近い大人がこの二人だから…。
というか、
「生きているだけでサプライズでしょう…」
七海は小さく呟いた。
____。
「ヘイ、東京校チルドレン御一行!Aさんのお成りだよ〜」
控えい控えい、と上機嫌にやってくるA。
彼女の姿に集合していた東京校の生徒は目を向けた。
彼女が歩く度に、ピンヒールと石畳がかち合いカツンカツンと音が鳴る。
これでこの人走ったり飛び蹴り出来るんだもんな…伏黒は思う。
「なんだA。非常勤なのに交流会観戦すんのか」
パンダの言葉に、Aは強く頷いた。
「あったりまえっしょ!楽巌寺のジジィが泣き喚くとこ超見たいじゃん」
「そこはお世辞でも鍛えた生徒が勝つところを見たいと言えよ」
「しゃけ」
真希の言葉に棘が頷いた。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時