141:ギャルと応急処置 ページ41
「ギャーギャー喚かれたくないからね」
Aはわざとらしく肩を竦めた。
喚かれるのは悠仁か、それともお馴染みの後輩か。
「ここ男子トイレですけど」
「安心しろよ、七海一人だ」
自信満々、ドヤ顔。
七海はため息混じりに、「その一人が男なんですよ」と呟く。
Aは基本、男女の認識が薄い。
先輩か後輩か、大人か子供か、生徒かそれ以外か、上司か部下か。
過去、その該当から外れたのは夏油傑ただ1人だったのだろう。
あの人は一体どんな魔法を使ったんだとまで思ってしまう。
これじゃあ、流石に五条も可哀想になってくる。
七海が呟いた言葉に、Aがへぇとにたにた笑う。
「何、用足す?手伝う?猫の手より、Aさんの手〜なんちって」
「…」
「冗談だよ」
当たり前だ。
じゃなきゃ、拳で強めに殴っていた。
「でも、お前のこと心配で来たのは本当だよ」
「は?」
七海がその先を問う前に、Aは問答無用で七海のシャツのボタンを開け始めた。
呆気に取られ、七海は暫くされるがままの状態になる。
漸く七海が抵抗を覚えたのは、シャツのボタンを全部開けられた頃。
「イカれてるんですか?後輩を突然脱がすとか…」
「イカれてなきゃ、ドラッグストアで包帯とか買ってこねーよ」
Aは笑いながら、救急車呼ぶだろ普通と付け足し何処に持っていたのかレジ袋から包帯やら手当道具を取り出す。
「…この短時間に?」
「そう。お前が電話してる間にね。180cm越えて筋肉ゴリゴリの男が貧血でぶっ倒れられても、私担げねーからな」
ほら、止血してやるから手どかせ、Aが続ける。
七海はその言葉に暫く黙っていたが、Aの行為を渋々受け入れることにした。
意外な事に、Aの手際はかなり良かった。
「慣れてますね」
「一年の頃にさ、私の事鍛えてくれた人が馬鹿みたいに殴ってきたからね。自分で応急処置するしか無かったってわけ」
Aさんを殴る………どんな人だ。
姿、形も分からないが、会いたくない事だけは確かである。
包帯を巻き終わった頃、突然Aのポケットで携帯が音を上げた。
Aは相手を特に確認することなく電話に出る。
すると、通話口から大きな声が飛び込んできた。
『先輩、ぶっ倒れてない!!?』
Aは思わず通話口から耳を離した。
あぁ、五条さんか。と七海は把握する。
確認しなくとも声が丸聞こえだ。
「ぶっ倒れてたら電話出れないっての」
やれやれ、とAが通話口へ返した。
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鼻毛太郎(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます!🙌原作があんな感じなので、いいでしょとぬるっと入れてます笑笑気づいて楽しんで下さる方が居るなら幸い…!更新速度遅めですが、ぜひ今後も宜しくお願いいたします🤍😌 (7月4日 17時) (レス) @page25 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 夢主のジャジャン拳発言に笑ってしまいました…原作も「これ絶対ハンタ意識してるだろ」って所あるし、赤どこかいている作者さん…色々浮かんでしまいました。笑。2作とも更新頑張ってください! (7月4日 17時) (レス) @page25 id: b1f847ba2a (このIDを非表示/違反報告)
世も末 - 返信ありがとうございます。鼻毛太郎様がお考えになる設定めちゃめちゃ好きなので、桐壺と夢浮橋のお披露目楽しみにしてます(;_;)!!(直哉のお話も楽しく読ませて頂いています)お体にお気を付けて、鼻毛太郎様のペースで更新頑張ってください(/*´ `)/ (2021年2月23日 3時) (レス) id: 6fde9aa103 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 世も末さん» 桐壺と夢浮橋、この2つの呪具はなんと今後も本編にて登場します!ちなみに、予定は攻略会にてです!とはいっても、1つのみしか出てこず(夢浮橋は壊れたので)…ですが、0の方では両方出ます!オリジナル呪具ですが、姿も形も一応は決まっていてお披露目が楽しみです…! (2021年2月21日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 世も末さん» コメントありがとうございます…!戻ってきて下さる事がとっても有難い;;かなり修正も完了して、今は漸く幼魚と逆罰に突入を果たせました…これから訪れる地獄に、先輩が耐えられるか否かを描くのがとっても楽しみです...!丁寧にお返事返したいので、長くなります! (2021年2月21日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年1月18日 0時