247:一線 ページ49
Aは至極真剣な顔で聞いた。
思えば、彼の好みの異性は知らない。
好みとなる言わば“青い果実”の趣味は把握しているが、それとはもっと別のものは知らない。
というか、まず彼にその概念があるのだろうか。
何故気になったかの理由はない。
大体、さっきも言ったがなんでこんな事を聞いているのか自分でも分かっていないのだ。
あぁ、もう
最近、自分の事を全くコントロール出来てないのよね
Aの質問に、今度は全く間を置くことなくヒソカは返す。
「君みたいな子♡」
ヒソカは立ち上がり、Aの頬の傷を撫でる。
ちり、と痛む傷口に顔を顰めながら「それ本気で言ってる?」と返してやる。
絶対おちょくられてる。
こっちが赤くなったらゲラゲラ笑って「君ってば、こんな事で照れて可愛いね〜」なんて言うに決まっている。
いつものお決まりの流れ。
絶対そう。
1億回はこのやり取りをしているはずだ。
Aは彼の目を見て、ふざけないでと視線を送る。
ヒソカは相変わらず余裕気な面持ちで、Aの頬をすりと撫でた。
そして、何を思ったのか「うん。訂正しよう」と告げる。
「君かな♤」
「は………」
その返しに、上手く返答が返せなかった。
何かを返すつもりで半開きだった口からは、よく分からない声が漏れ出る。
脳処理が追いつかない。
言葉の意味を理解するのに、きっとあと30分はかかる。
「う…そつき……」
「嘘じゃないよ♢」
「え?」
何これ。
いつもと違う。
私が1億回ぐらいやってきたやり取りは?
何その流れ。
何よ、私が「嘘」って言ったら「君には隠し事は出来ないな」って返すのがいつもの流れじゃない。
違う
ちょっと
待って
青い瞳と金の瞳。
視線同士が絡まり、一直線に繋がる。
逃れられない。まるで、狼に捕まえられた兎が如く。
すり、頬を撫でる。
「試してみる?」
言葉を脳髄に届かせる前に、視界に影が重なり。そして。
いつもとずっと違う。
目を瞑る暇もなく。
呆気に取られたまま。
続けようとした言葉を唇の奥へ押し込まれる。
塞がれた、唇を。
何も細工はない。
正真正銘、唇を塞がれたのだ。
その日、初めて絶対に友達とはしない事を私はヒソカ君とした____。
________________続く。
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鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» し、した…!!!って感じですよね…!絶対無茶苦茶な会話してますよ…おわーーテスト頑張ってください;;テスト明けいっぱい楽しめるよう、沢山お話作っておくので…!いつも応援されている身なので、今回ばかりは私が応援を!頑張って!! (2021年5月28日 19時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - きゃーーーー(/ω\)キャー〜ついに、ついに、キッッッッッッッッスですか。確かに、早く旅団との絡みもみたい(*´-`)クロロと4人での会話なんて、めちゃくちゃテンション上がりますo(*≧∀≦)ノただ、テスト期間なのでこれからコメントするのが、少なくなりそうです(..) (2021年5月28日 16時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» そうなんですよね…!意外と真面目な戦闘シーンって無くて、今後もちょくちょく出てきます…!たまには2人とも動ける人なんだから、目一杯動いてもらいたくて! (2021年5月26日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - ヤバイ、かっこいいぃぃぃぃ\(^-^)/ヒソカとの真面目な戦闘シーンって、今までなかったからすごく興奮しました(*´-`)『その時…』って何があったのぉぉぉ (2021年5月26日 19時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 絶対2人に「それは無理がある」って言われるけど、「は?」って言って黙らすんだろうなと書きながら思いましたね笑数話殺伐とした内容が始まりますが、殺人鬼と暗殺者の真骨頂だと思うのでお楽しみに…!!! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年4月14日 1時