458:ギャルと白道 ページ8
食い入るように言った。
今のAさんでは、正直言って前線には立てられない。
術式はない。呪力だって、既にかなり消費してるはずだ。
それに、Aさんがどれだけフィジカルに自信があったとしても、目の前の男はそれ以上____。
俺は今一度Aを呼ぼうとした、だがしかし。
「駄目だッ!……お前は絶対に手を出すな。絶対に」
その時俺を見たAさんの目は、見た事がないほど焦っていた。
声音も、聞いた事が無いほど切羽詰まって。
どんな時も腹が立つほどに余裕気なこの人が、どうしてそんな目と声を出すんだ。
この人は昔から、俺に必要以上に『好きに生きろ』と言い聞かせてきた。
俺が中学で問題を起こし、保護者として呼び出されても怒らなかった。
「生きてれば殴り合いの喧嘩ぐらい1つや2つあるでしょ。それに、理由もなくこの子は人を殴りませんよ。先生は理由もなく人を殴ったりするんですか?拳を奮う時は、それ相応の理由があるでしょ」
そう言って、隣に座っていた俺の頭をくしゃりと撫でてくれたこともあった。
帰りに「迷惑でしょ。自分の子供でもないのに」そう零した。
それでも、Aさんは怒らなくて、逆にケラケラと笑いながら言ったのだ。
「恵が好きに生きれるなら、私はなんでもしてやりたいの」
俺は、切羽詰まるAさんを前にして、拳を握りこんだ。
アンタは、いつもそうやって......ッ
Aさんと男の間に、張り詰めた空気が渦巻く。
男は、Aさんの姿を視野に捉えるとゆらりと笑った。
まるで、獣同士が見合って一瞬の隙を伺うようにも思えたその光景に、俺は呼吸することさえも忘れてしまった。
少しでも俺の呼吸が聞こえてしまったら、何かが変わってしまうかもしれない。
そう思った。
前触れもなく、恐らくそれは対面する二人にしか分からないタイミングの中、俺の前から二人が姿を消した。
そして次の瞬間、二人が目の前で互いを迎え打った。
「...ぐッ、」
「...」
Aさんの顔面真っ直ぐに、研がれた游雲の先を向ける男。
それを両手で止めるAさんだが、驚いたことにAさんの止める両手が震えている。
恐れからでは無いのを俺はすぐに察した。
力負けしているんだ。あのAさんが。
思わず俺は片腕を握った。鳥肌が立っている。
Aさんが力を抜き、その要領で游雲の先から逃れる。
しかし、男が振り下ろすスピードの方が上回り、Aさんの頬を先端が斬り付けた。
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時