480：ギャルと23時07分 ページ30
＿＿＿＿。
23時07分
Aは、血痕の痕を辿り伏黒を探していた。
相変わらず体は傷だらけの穴だらけで、生きてること自体が不思議なレベルだった。
それなのに、それ以上に可笑しいのは、普通に歩けてしまう事だった。
反転術式の力では無いことは明白である。
それならば怪我自体が治っているし、何よりAはそもそもな話反転術式を使うことは出来ないのだ。
まさか、何かの拍子に人間じゃなくなったなんて言わんだろうな...
不思議なことになっている自分の体に疑問を抱きながらも、それどころでは無いと深くは考えず血痕を追う。
「とにかく、恵が心配だ＿＿＿＿＿＿＿＿、」
アイツ、冷静でいて意外と思い切りが良すぎるところあるからな。
そう思って、早足に道玄坂109前へと小道から出た途端だった。
Aは、目の前の光景に声を発する事なくパカと口を開けたのだ。
間抜けな姿ではあったものの、Aが目の前の光景を前にして取れる行動の全てであった。
それ以外に取れる行動がない
拓けた目の前に現れたのは、異形の怪物いや式神『魔虚羅』であった。
Aは思わず、瞳を震わせる。
あれが、『魔虚羅』の姿。
一目見てAは察した。
それは『魔虚羅』の姿を前にしてもう絶対助からないと確信した訳でも、自身の姿を捉えて「おい！おい、女ァ！！どうにかしろよ、コレッ！！」と血相を抱える謎のサイドテールの男の姿を見て状況を理解した訳でもなかった。
＿＿＿＿＿＿恵は...ッ
Aが、切羽詰まった顔をしてほぼ本能的に一歩足を踏み出すと、ふと爪先が何かを蹴った。
重くも、硬くはない。“人”の感覚。
嫌な予感がして、しかしその予感に抗うことも出来ず、Aはゆっくりと足下に目を向ける。
そして。
青褪めた。
血みどろで、気を失った伏黒が横たわっている。
それもまるで、死体のように。
半開きになった口からは、ぬらぬらとした赤黒い血が溢れ出ていた。
その血は顎を伝って襟を汚し、高専の制服を異様なまでに光らせる。
彼の瞳は前髪で隠れて見えない。
顔の半分は血に塗れていて、その血の中で彼の閉じない目だけが鈍く禍々しい色を前髪の奥では放っているのかもしれないと思うと気絶しそうな気を覚えた。
「ぁ……ぁあ…」
ぽかりと開けっぱなしにしていた口から、蚊のなくような声が漏れ出た。
指先が震えている。膝が笑っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プルメリア - ありがとうございます！頑張りますね！ (2023年1月9日 7時) (
レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…！多分、宿儺のやつですかね…？まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…！ (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです！ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか？ (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです！ (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月27日 22時
