544：月を背負う ページ48
声が降ってきて、Aは弾かれたように顔を上げるとそこには月を背負ったクロロが居た。
コートに両手を突っ込んで、こちらを不思議そうに見下ろすクロロ。
Aは、なんだ貴方かと微かに笑ってみせる。
「月が似合うわね、貴方って」
「俺は君の方が似合うと思うんだが」
月光にも負けず劣らずの銀の髪とか、瞳は夜の色をしているし。
クロロは言いながら、Aの横に腰を降ろす。
「…自慢のコートが汚れるわよ」
「気にするように見えるか？」
さらりと返したクロロ。
しかし、いまいち腑に落ちて居なさそうなAの表情に、少し笑って「それとも、」と言葉を続けた。
「隣に居て欲しくないとか？」
その言葉に、Aは猫騙しでも食らったような顔をしたあと、苦虫でも噛み潰したように顔を歪めた。
「狡い聞き方。………聞いてたの？」
顔の横で親指と小指を立てて見せ、“電話”のジェスチャーを見せるA。
するとクロロは、首の骨をこきこきと鳴らしながら間延びした声で「最後の方だけな」と返す。
「俺も俺で、ウボォーから電話が入ってたんだ」
「なんて？」
「『鎖野郎をぶっ殺す。それまで帰らねぇ』だと」
思わず訳が分からんと顔を顰めたAに、クロロは俺もだと言わんばかりに笑ってみせた。
「だがまぁ、ウボォーが決めたからそうなんだろ」
「信頼してるのね」
「付き合い長いの？」と、Aが訊ねる。
月の光がやけに眩しく感じる。
だけど、それが心地いい。
廃墟が立ち並ぶここでの光の殆どが月光だからだ。
「それなりに」
クロロは言ったあと、何かを思い出したのか、ふっと顔を綻ばせ「いや、かなり」と訂正した。
そのクロロの顔があまりにも柔らかかったので、「いいわね、そういうの」とAが少し笑って返す。
すると、クロロは唐突にAへ顔を向けて、ふわりと表情を緩めてみせた。
「俺は君のことも信頼してるんだけどな」
「ま、まだ、会って対して経ってない、けど…」
なんだその、数多の女がコロッと落ちるんです。みたいな表情は。
不覚にも動揺してしまい、分かりやすく吃るA。
一方、クロロは表情を相変わらず崩すことなく言葉を返す。
「ダメだった？」
狡い。思わずAの口から出かける。
人に信頼をしてるなんて言っておいて、こっちが狼狽えればダメかどうか聞くなんて狡すぎる。
この男は一体こちらをどこまで予測できているんだろう。
それとも、予測出来ないがその状況を楽しんでいるのか。
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
