529：考え事 ページ33
＿＿＿＿。
廃墟になる前、ここは一体なんだったのだろうか。
Aは思いながら、アジトへの帰路を歩いていた。
人ひとり居ない廃区画では、普段よりもヒール底の音が異様なまでに大きく響く。
廃ホテル、廃村、廃工場。
多分、廃工場のような気がするな。
まぁ、どれだって特段何かあるわけではないのだが。
そんな事よりも、ここからどう立ち回るのかを考えなきゃな。
なんて思って歩き進めていた矢先、
「動くな」
後ろから、ぬっといつの間にか忍び寄っていた影がAの口を片手で封じる。
流石に油断した。
考え事をしていたし、アジトに近いからと気を弛めていたがあまり後ろを取られた。
この私が＿＿＿＿ッ！！
しかし、この程度で簡単に両手を上げるほどAは落ちぶれてはいない。
バキバキと歪で彼女の美しい姿には到底似つかわしくない音を立て、爪が鋭利に伸びる。
まるで猫を思わせるが、手の甲に浮かび上がった血管を思えば猫なんてまだまだ数億倍は可愛い方だ。
そして、間髪入れず伸びてきた手の手首を片手で掴むと、相手の手首から鈍い音が漏れる。
その一瞬で手首の骨を折ったのだ。
その程度で終わらせるAではない。
そのまま、相手の手首を掴んだ状態で素早く振り向き、相手の顔面を裂こうと尖らせた爪を放ったがしかし。
んちゅ、と唇に柔らかいものが触れる。
「なーんちゃって♡」
唇を離すなり、目の前でご機嫌に笑みを浮かべる見知った男。
Aは、その姿に目を丸くした。
あまりに驚いて、暫く彼の頬を裂いた爪が引っ込められずにいたぐらいだ。
一方、現れた男の正体というか、お分かりの通りヒソカはAの驚きように表情を変えて何度か瞬きをさせる。
「君、本当に気付いてなかったの？」
そう言われて、漸くAは手を引っ込めた。
「ひ、ヒソカ君！？いや、気付いてなかったというか、いや確かに気付いてなかったけど、その、」
「こら、手隠すことないだろ♢」
ヒソカの頬を裂いてしまった罪悪感から、咄嗟に背中の後ろに手を隠そうとしたAだというのに、目ざといヒソカは隠してしまう前にその手を掴み上げる。
「ちょ、」なんて戸惑うAだが、すでにここの空気はヒソカのペースに呑まれている。
そして、特に前振りもなく血の付いたAの指先を舐めとるヒソカに、Aはギョッとして急いで片手を引っ込めた。
「な、ななな、な、なにしてんのよ！！？」
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
