527：機転 ページ31
「なんで？」
Aは、笑みを携えたまま何気ないように訊ねた。
すると、再びフェイタンが口を挟む。
「お前、中々ずる賢いな」
空気が張り詰める。
なるほど、彼は思った以上に警戒心が強そうだな。
Aは、笑みを張りつけたまま、彼の言葉の意味がよく分からないといった顔を含ませる。
しかし、フェイタンはだからといって諦めて引き下がってはくれない。
「言葉に対し否定もしなければ肯定もしない。で、どちね？変に溜めると余計怪しさ増すよ」
鋭いな。
Aは思ったと同時に、唇の裏で呟いた。
予定変更だ。
決断した同時、Aは表情を親しみ安い笑みから、猫のように心の奥底では何を企んでいるのか分からないような大人びていて艶っぽい笑みへと変化させた。
そして、髪を片耳にかけるなり切り出す。
「貴方って、結構喋るのね」
「は？」
片眉をあげるフェイタン。
Aは相変わらず、表情を特に変えることなく「だって、」と続ける。
「私とまともに喋る気、あまり無さそうだったから。喋るのが嫌いな子なのかと思った」
「子…っ、」
プチン、とフェイタンの中で何かが切れた音がして、いつも以上に眉間に皺を寄せ突っかかろうとするも、どうどうとフェイタンを止めるフランクリン。
「やめとけフェイタン。Aの方が上手だ」
如何にも余裕なお姉さんといった風体を醸すA相手に、フェイタンがこの場で反逆出来ることは何もない。
それを分かっているフランクリンは、冷静さを欠いているフェイタンの代わりにAに訊ねた。
「で、実際どうなんだ？」
彼ら三人とは知り合いなのか、どうか。
「違うわよ」
ふふ、とAはきっぱり笑って否定する。
「言われれば、確かに凄く似ているから私も驚いちゃった。ゾルディックの人間が、こんなに注目浴びるようなことするわけないじゃない」
無論、言わなくても分かることだが、Aはこの時嘘をついた。
予め相手に怪しさを持してしまったので、Aはわざと話を逸らすような前フリをしてより怪しさを加速させておく。
その後すぐに嘘をあっさりと否定すると、相手は余計な真似しやがってと言動云々ではなくその対応に呆れて折れてくれるのだ。
こんな嘘のつき方、毎日嘘つきと生活してなきゃ身につかないわよ。
脳裏にニヤニヤと笑う自称奇術師の変態を思い描きながら、自分自身によくやるもんだと思ってしまう。
「ところで、三人はこんな所で何を？」
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
