039:夜間徒師 ページ39
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寮に帰宅し、共用スペースでテレビを見ていると夜蛾が声をかけてきた。
「面白いか?」
「うーん、あんまし」
テレビを見ているとは言っても、実際はBGMにしてるだけだった。
Aはポチポチとキーを押し携帯画面を眺める。
『Aさん、吉祥です。アドレス貰ったので、早速送らせて頂きました。今日は本当に助けてくれてありがとうございました。助けた猫は、毎日あの路地裏に見に行くつもりです。Aさんも、良かったら見に来てあげてくださいね。きっと、あいつも喜ぶと思うので。それでは、おやすみなさい』
吉祥からのメールは至極丁寧な文で、Aが知ってる男の中にはこんなに丁寧な文を送ってくる奴は居なかった。
最後には、例の猫の写真が貼ってあった。
手当をしたあと、吉祥との話し合いにより路地裏に簡易的な生活スペースを作って、世話を見る事になった。
Aは寮だし、吉祥も自宅では飼えないと話が纏まったのだ。
「お前、テレビ見てないだろ」
「見てるよ、見てる」
とはいっても、実際は携帯を見ているのだが。
『メール文固すぎ。もっと友達に話すみたいに話せよ。私ら友達っしょ?アドレス交換したし』
気に入っているデコ文字をくっつけ、Aはメールを送信する。
思わずふっと笑ってしまった。
それを夜蛾は見ていたようで、「随分機嫌が良さそうだな」とAに言った。
Aは、ふふんと笑い「まぁね。教えねーけど」と返す。
「別に興味はないが」
夜蛾はため息混じりに言うと、Aの隣に座った。
Aは携帯を閉じて、共用スペースの冷蔵庫を開けに行く。
そして、アイスを二本取りだした。
「あげる」
夜蛾に一本渡す。
「…何かの罠か?」
「私の事どんだけ疑ってんだよ。気まぐれだっつーの」
ほらはやく、とAはアイスを突き出すと漸く夜蛾が受け取ってくれた。
二人は並んでアイスを食べ始める。
風呂上がりのアイスがやっぱり一番美味い
Aはアイスを齧りながら思う。
ふと、Aは夜蛾を横目で見た。
「夜蛾」
「なんだ」
「いつもに増して顔こえーな」
夜蛾は顔を顰めながら「嫌味なら別日にしてくれ。疲れてるんだ」と返す。
Aはその言葉に「ちげーよ。疲れてる顔してんなって意味だっての」と投げた。
「なんかあったっしょ」
ぺろ、とAはアイスを舐める。
「…少しな、上層部との会議で」
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時