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長袖のカッターシャツの裾を巻くって七分丈にしている。汗で透けるからベストを着て欲しいと伝えても、汗をかかないから大丈夫の一点張り。大丈夫やないわ。
冬はオーバーサイズの白いセーターを着用。
それのせいでスカートは短く見えるし、小さく細い手は姿を現していない。
……?姉のスカート丈がやけに短く見える。
それ以上他の野郎共に生脚を晒すのはやめた方がいい。
「侑くん、お待たせ。お弁当持ってきたよ」
「ありがと、姉ちゃん。サムんとこはもう行ったん?」
「うん。今日は1組の方通ってきたから。先に持って来て欲しかったん?」
「ううん。後のが姉ちゃんと話せるからええねん」
何言うてんのなんて笑う姉ちゃん。
口元を手で隠すあたりそんじょそこらの女より女子力がある。
笑うと揺れる髪は朝とは違いおろされていた。
あれはきっと俺たちだけの特権。
「姉ちゃん、一緒にお昼食べよ」
「バレー部の子とは食べへんの?」
「今日は姉ちゃんと食べたい気分やねん」
「じゃあ一緒に食べよっか。あ、治くんも呼ぼ!」
「サムは要らん」
「なんでよ〜」
「……やって、今日サムのリクエスト弁当やん。むり」
「侑くんはヤキモチ妬きやねぇ。……じゃあ、今日2人で食べたこと治くんには内緒やで?」
人差し指を口に当て、しーっとするその姿は何処か艶めかしい。
「それ、他の男にせんといて」は飲み込んで隠した。
弁当を取りに行っている姉ちゃんを教室で待つ。その間に、机に散らばった教科書を机の中に。
一緒にお昼を食べようと誘ってくる雌豚は無視する。
お前らなんかより姉ちゃんと食う方が有意義な時間に決まっている。
3年生の姉ちゃんが教室に入っただけで、クラスの男共は騒がしくなる。
全員の視線をかっさらいながら俺に近付く。
前の席のやつの椅子を借りて、俺と向かい合わせに座る姉。
何をしていても見飽きないのは、治が言った通り、自分がシスコンを拗らせているからだろうと再確認する。
「明日さ、トロ食べたい」
「お弁当?」
「おん」
「うーん。今夏やし厳しいかなぁ。ママに晩ご飯で出してもらい」
「姉ちゃんがいい。…………今日もバイトなん」
「今日もバイトやで」
姉が高校生になってから、俺たちと夕食を共にしたのは数少ない。
家でご飯を食べるとしても夜遅くに帰宅するので晩飯の時間が被らない。
嫌悪感が、滲む。
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宮瀬(プロフ) - 非常にすきです (3月14日 7時) (レス) @page41 id: 1103f6dc65 (このIDを非表示/違反報告)
aikarino(プロフ) - すてき (9月20日 0時) (レス) @page41 id: 6a0c38d02f (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 素敵な姉弟愛の物語で、とても感動しました。お姉さんもツインズも、お互いのことが大切なのがひしひしと伝わってきて、泣きそうになりました。色々な愛の形をこの作品で感じられて、胸が温かくなりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (9月17日 23時) (レス) @page42 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
えるるるる(プロフ) - めちゃくちゃ読みやすい…!綺麗なお話だ…すごくすき… (2022年6月23日 20時) (レス) @page42 id: 80c508f955 (このIDを非表示/違反報告)
すー - フィクションなのは分かってるんですけど侑くんの言葉の一つ一つやいろんなシーンに感動して泣いてます…。素敵な作品ありがとうございます…!ホントにずっと涙が止まりません…。深夜にボロボロ泣いてる私って…笑これからも頑張ってください! (2021年7月29日 1時) (レス) id: 4912493c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:13.m | 作成日時:2020年4月16日 10時