検索窓
今日:6 hit、昨日:27 hit、合計:343,501 hit

ページ27

.



毒の道を抜け、一旦休憩することにしたキルアとA。キルアが目を瞑っていると、Aが頭を撫でた。眠ったと思ってるのだろうか。


キルアが薄ら目を開けていると、向かいから囚人が現れるのが見えた。
すっかり気が抜けていた。動こうとするキルアだったが、毒のせいで体が重い。


『ちょっと待っててね』


Aはキルアを横に寝かせ、呟いた。



驚いたのはその後だった。Aが殺気を放つと囚人達が逃げ帰ったのだ。

間違いなかった。サシでの勝負のときにも一瞬だけ感じた殺気。兄貴が放つ嫌な空気にそっくりなのだ。違うのは真冬のように寒く感じる感覚。

逃げろ__兄貴に鍛えられた本能が警告する。ただ歳も変わらない少女が怖かった。





『あれ?キルア起きたんだ。もう大丈夫なの?』


振り返ったAはいつもと変わらない表情だった。けれど、今のキルアにとってそれが恐ろしく思えた。


「…………A」
『何?』
「あんた何者だ?」


Aの青い瞳が大きく揺れた。そして静かに哀しそうに答えた。


『普通の人間だよ』





やっば隠し事かよ……__そのときキルアは無性に腹が立っていた。

囚人とサシで闘った時だって、Aの動きが見切れなかったことにイライラしていた。速さには自信があったから。
単に、自分はAのことを何も知らないから。Aと友達になれたら良いななんて思ってしまったから。


イライラが重なって落ち着かなかった。気付けば、Aの手首を強引に引っ張っていた。


『キルア?急にどうしたの?ちょっと速い…………っ痛!!』


振り返って見れば、Aは足を押さえていた。





『私はキルアのこと嫌いになったりしないから、心配しないでね』



何故か、飛行船でのAの言葉が脳裏に浮かんだ。戸惑った表情のAと目が合う。
Aはこんなオレのことを信じてくれたのに……



キルアはようやく違和感に気付いた。


「A、その足……」
『ちょっと、隠し扉から落ちるときに、……ひねっちゃったり?』
「バカか、そういうことは早く言えよ! 一蓮托生なんだから」


キルアは大きい声を出した。すると、Aはくすくすと笑い始めた。


「何だよ」
『良かった……いつものキルアだ』
「……ごめん」
『何で、キルアが謝るの?』
「いーや、なんでもない……」



Aが隠していることもあるかもしれない。でも、オレもAのこと信じよう__キルアはそう決心した。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (206 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
448人がお気に入り
設定タグ:HUNTER×HUNTER , キルア
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

冬瀬(プロフ) - 作者です。誤字等、まとめて修正しました。 (2022年3月5日 9時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 妄想癖さん» 質問ありがとうございます!光の加減で、白色(限りなく無色透明)に見えるイメージです(言葉にしがたい)。光の反射とかで頭皮は見えないはず 笑。。「宝石の国」のキャラクター達みたいな感じです(気になる方は調べてみて) (2021年2月16日 13時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
妄想癖(プロフ) - 無色透明ってことは禿げて見えるんですか?! (2021年2月8日 0時) (レス) id: 36f953a85d (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 作者です。ちまちま修正中。 (2020年2月27日 23時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
しらほ(プロフ) - フォスさん» きっとトプ画のことですね??多分。一言添えていますがトプ画は雪兎様に描いて頂きました。とても可愛いですよね!! (2019年2月24日 23時) (レス) id: 5f12e77188 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:冬瀬 | 作成日時:2018年8月15日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。