. ページ6
私は呪われた子だから。
夕闇燈に呪いで縛られた、呪われた子。
体を乗っ取られて、その時間も年を重ねる度に増えていく、そんな呪いで。
誰かがこの呪いを解いてくれるなんて、夢物語だったら有り得たのかもしれない。
でもこれは現実で、そんな都合の良い事がある訳なくて。
守護者を作り直してもどうせまた夕闇燈が出来上がって、振り出しに戻っていく。それは、もうとっくのとうに経験済みで。
でもこれは、きっと運命だから。いるのかも分からないいたとしても私を愛してはいないような神様が決めた運命だから。
私は抗わないよ。それは昔、自分で決めた事だ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「母さん、行ってくるね」
そう声をかけて、学校へ向かう。今は私で、夕闇燈ではない。
これは母さんも知らない。私は母さんの中でただ良く守護者に体を乗っ取られる、ただの少女だ。
その時点でただの、というのは間違っているような気もするが、これは日常の一部になってしまっているのだからしょうがない。
校門の前まで来る。相変わらず宮殿のような形をしていると、少し笑ってみる。
それと同時に幼少期の悪夢を思い出すから嫌になって、の繰り返し。忘れてしまえればいいのに。
立ち止まって、そんな事を考えてみる。それから歩き出そうとした時、声をかけられる。
声の主は意外な人で。
「ねえ」
「……孤爪先輩？」
声をかけてきたのは孤爪先輩だった。俯きがちにこちらをのぞき込まれるため、何もかもを見透かされているように感じる。
「……どうかしましたか、孤爪先輩」
「別に……。ただ君と話がしたくて」
その言葉に自分でも眉が自然に寄るのが分かった。そういえば孤爪先輩の個人魔法は未来予知だったかと今更思い出す。
別に思い出さなくても思い出しても結果は同じだっただろうが。
「とりあえず中、入りましょうか」
私は校舎を指さして、孤爪先輩の方を向く。孤爪先輩が頷いたのを確認して、歩き始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凛花 | 作成日時：2017年1月9日 16時
