. ページ13
「はい！じゃあ今日の授業は終わりー。帰っていいよ」
及川先輩のその一言を欠伸をしながら聞く。ああ眠い。
隣に居た岩泉先輩がそれを見て少し笑う。何故笑ったし。
それにしても疲れたなあ。夕闇燈になるまであと50分か。普通に帰るか。
「A帰るのか？」
テツ先輩が隣に来て言う。私は背の高いテツ先輩を見上げて頷いてから
「はい。今日疲れたんで家で休みたくて」
「そっか。じゃあ、また明日な」
はい、と言ってから頷く。ああ、また頭が痛くなってくる。本当に最悪だ。
「ねえ」
帰ろうと、そのまま門の方へ歩き出していたところで、また声をかけられた。
クセ毛の茶髪に不機嫌そうな顔。ゆったりと手を上げて、魔法を発動させようとしているのが分かった。
何故いきなり攻撃してくるのかが分からなくて、でもすぐにそれは分かった。
「……残念ですが、今は貴方の望む人格じゃないですよ」
どうやって夕闇燈と私の人格が行き来しているのかを知ったのかは知らないが＿＿＿＿
「ふぅん。じゃあ、いいや」
まるで私には興味もない、いや、本当にそうなのだろうが。そんな風に言った。
身を翻し、そのまま歩き出す。が、鎖のような物が後ろから迫ってくる。何がしたいのか全く分からないが、痛いのはごめんだ。振り返ってから自分の前にのみ結界を張る。
それで鎖は消滅した。
「伝えといて。君を許すつもりはないと」
それはあまりにも夕闇燈が可哀想だ。許されたいが為にわざわざこんな事をしているのに、その対象にこんなにも嫌われてしまっている。いや、こんな事で許されようとしているあたり、夕闇燈の頭はおかしいのだが。
「はは、それ、燈が暴走しそうなんで記憶にロックかけときますね」
嘲笑うような表情を作り、そう言った。それに及川先輩はつまらなそうな顔をして早く行けと顎で急かすような動作をする。
それを鼻で笑ってからやっと帰れる、と思い歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凛花 | 作成日時：2017年1月9日 16時
